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平成29年版 犯罪白書 第2編/第6章/第1節

第6章 刑事司法における国際協力
第1節 刑事司法における国際的な取組の動向

経済・社会が国際的な結び付きを強め,人,物,金,情報等の国際的流動が活発になる中で,国際的な犯罪に適切に対処できる刑事司法の在り方が重要となり,以下のとおり,国連や先進国首脳会議(サミット)を含む各種の国際会議等において,刑事司法の制度・運用面での協調が進められてきた。

国連においては,経済社会理事会の下に機能委員会として設置された犯罪防止刑事司法委員会コミッション)が,毎年会合を開いて刑事司法分野の政策決定を行っているところ,我が国は設立当初から同委員会の構成国に選出されており,毎年の会合において積極的に関与している。また,刑事司法の各領域にわたる政策の提案,意見交換を目的として,国連の主催により昭和30年(1955年)から5年ごとに国連犯罪防止刑事司法会議コングレス)が開催されてきたところ,平成27年(2015年)4月にはカタール・ドーハにおいて,第13回コングレスが開かれ,「犯罪防止・刑事司法のより広い国連アジェンダへの統合」をテーマに議論が行われ,参加国の政治的決意を表明する「ドーハ宣言」が採択されるとともに,次回,平成32年(2020年)の第14回コングレスを我が国で開催することが決定された。第14回コングレスの全体テーマについては,平成29年(2017年)5月に開催されたコミッションにおいて,我が国が次期開催国として議論を主導するなどし,平成27年(2015年)9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において,2030年を期限とする包括的な17の目標が設定されたことも踏まえ,「2030アジェンダの達成に向けた犯罪防止,刑事司法及び法の支配の推進」と決定された。さらに,平成29年(2017年)8月には,開催地を京都とすることについて閣議了解された。我が国は,コングレスの事務局である国連薬物・犯罪事務所(UNODC)(注)第1編第3章参照)等と協働し,開催に向けた準備を進めている。


注 国連薬物・犯罪事務所(UNODC)は,国連事務局の中で,不正薬物,犯罪及び国際テロリズムの各分野に関する業務を担っており,国連経済社会理事会の機能委員会である麻薬委員会及び犯罪防止刑事司法委員会等の事務局を務めるとともに,不正薬物,犯罪等に関する調査・分析,加盟国に対する関係条約の締結・実施及び国内法整備の支援,これらの対策に関する技術協力の提供等を行っている。