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平成29年版 犯罪白書 第2編/第5章/第3節

第3節 応急の救護・更生緊急保護の措置等

保護観察所では,保護観察対象者について,病気,けが,適当な住居や職業がないなどの事情により改善更生が妨げられるおそれがある場合には,医療機関,福祉機関等から必要な援助を得るように助言・調整を行っているが,その援助が直ちに得られない場合や得られた援助だけでは十分でないと認められる場合,保護観察対象者に対して,食事・衣料・旅費等を給与し,又は宿泊場所等の供与を更生保護施設に委託するなどの緊急の措置(応急の救護)を講じている。

また,更生緊急保護は,満期釈放者,保護観察に付されない全部執行猶予者又は一部執行猶予者,起訴猶予者,罰金又は科料の言渡しを受けた者,労役場出場・仮出場者,少年院退院者・仮退院期間満了者等に対し,その者の申出に基づいて,応急の救護と同様の措置を講ずるものである。刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後6月を超えない範囲内(特に必要があると認められるときは,更に6月を超えない範囲内)において行うことができる。

2-5-3-1表は,平成28年における応急の救護等(補導援護としての措置を含む。以下この章において同じ。)及び更生緊急保護の措置の実施状況を見たものである。

2-5-3-1表 応急の救護等・更生緊急保護の措置の実施状況
2-5-3-1表 応急の救護等・更生緊急保護の措置の実施状況
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起訴猶予者の再犯防止に資するため,平成25年10月から,一部の保護観察所と検察庁とが連携した更生緊急保護の事前調整が試行的に実施されてきた。27年度からは,より実効性のある支援の実施を目指し,検察庁と連携の上,特に支援の必要性が高い者に対し,全国の保護観察所において,継続的かつ重点的に生活指導等を行った上で福祉サービスの調整や就労支援等を行う「起訴猶予者に係る更生緊急保護の重点実施等の試行」が実施されている。