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平成28年版 犯罪白書 第3編/第2章/第5節/2

2 少年の保護観察対象者に対する処遇

保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対する処遇は,基本的に,特定暴力対象者に対する処遇,専門的処遇プログラム及び中間処遇制度を除き,仮釈放者及び保護観察付執行猶予者についてと同様である(第2編第5章第2節2項参照)が,以下のような取組も行っている。

(1)類型別処遇

少年の保護観察対象者に対しても,類型別処遇第2編第5章第2節2項(2)ア参照)が実施されている。なお,保護観察処分少年のうち,交通短期保護観察及び短期保護観察の対象者については,類型別処遇は適用されないが,一定期間を超えて保護観察を継続する場合等,一般の例による保護観察処遇へ移行したときは,類型別処遇の対象となる。

平成27年末における保護観察処分少年(交通短期保護観察及び短期保護観察の対象者を除く。)及び少年院仮退院者の類型の認定状況は,3-2-5-4表のとおりである。

3-2-5-4表 少年の保護観察対象者の類型認定状況
3-2-5-4表 少年の保護観察対象者の類型認定状況
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(2)凶悪重大な事件を起こした少年に対する処遇

殺人等の凶悪重大な事件を起こした保護観察処分少年及び少年院仮退院者は,少年の持つ問題性が極めて複雑・深刻であるため,段階別処遇第2編第5章第2節2項(1)参照)において最上位の段階に区分し,保護観察官の関与を深め,社会適応力を涵(かん)養するほか,しょく罪指導プログラム(同項(2)オ参照)による処遇を行うなどして被害者等の意向も踏まえ謝罪にも努めさせている。

(3)専門的処遇プログラムによる処遇

仮釈放者及び保護観察付執行猶予者のように,専門的処遇プログラム(第2編第5章第2節2項(2)ウ参照)による処遇を受けることを特別遵守事項として義務付けることは,保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対しては行っていない。ただし,その者の非行事実等に照らして必要と認められる場合,その特性等に十分配慮した上で,生活行動指針として定めることにより,専門的処遇プログラムが実施されることがある。

(4)社会貢献活動・社会参加活動

平成23年度から,成人を含めた保護観察処遇の一環として,社会貢献活動を保護観察対象者の同意に基づき,先行実施してきたが,25年6月,更生保護法が改正され(平成25年法律第49号),保護観察の特別遵守事項の類型に社会貢献活動が追加され,27年6月1日から,特別遵守事項として義務付けられた社会貢献活動を実施している(社会貢献活動の内容や参加人員等については,第2編第5章第2節2項(5)参照)。

また,従前から,主として少年の保護観察対象者に対して,社会性を育み,社会適応能力を向上させることを目的として,陶芸教室・料理教室等での学習,農作業,スポーツ活動等を行わせる社会参加活動を実施している。

なお,従来社会参加活動として実施されてきた活動のうち,公共の場所での清掃活動や福祉施設での介護補助活動等,レクリエーションとしての要素を含まない活動の多くは,社会貢献活動の先行実施以降,社会貢献活動として実施されるようになった。

(5)就労支援等

少年の保護観察対象者に対しても,計画的な就労支援が実施されているが,その一環として,平成19年10月から,農業に就く意思のある少年院仮退院者等を宿泊させて,指導監督や農業実習を通じた就労支援を行うことを目的とした沼田町就業支援センターが運営されている(第2編第5章第2節2項(6)参照)。

(6)保護者に対する措置

保護観察所においては,保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護者に対し,少年が20歳に達するまでの間,少年の生活実態等を把握して適切にその監護に当たるべきことや,少年の改善更生を妨げていると認められる保護者の行状を改めるべきことなどについて指導又は助言を行うほか,保護者会を開催して,保護者同士が親子関係等について自由に語り合える場や,保護者が専門家から子供との接し方等のアドバイスを受ける場を設けることなどによって,少年の非行に関連する問題の解消に資する情報の提供等を行っている。