充実した公判の審理を継続的,計画的かつ迅速に行うため必要があるときは,第一回公判期日前に,事件の争点及び証拠を整理する公判前整理手続が行われることがある。裁判員法により,裁判員裁判の対象事件については,必ず公判前整理手続に付さなければならないとされている。また,裁判所において,審理状況等を考慮して必要と認めるときは,第一回公判期日後に,公判前整理手続と同様の手続により事件の争点及び証拠を整理する期日間整理手続が行われることがある。
平成27年に地方裁判所で終局処理がされた通常第一審事件のうち,公判前整理手続に付された事件の人員は1,366人であり,期日間整理手続に付された事件の人員は165人であった(司法統計年報による。)。
公判前整理手続に付されずに公判を開いた後,罰条の変更等により裁判員裁判対象事件となったものを除き,平成27年に第一審で判決を受けた裁判員裁判対象事件(少年法55条による家裁移送決定があったものを含み,裁判員が参加する合議体で審理が行われずに公訴棄却判決があったものは含まない。以下この節において同じ。)における公判前整理手続の期間(公判前整理手続に付された日から同手続終了日まで)の平均は7.4月であり,公判前整理手続期日の回数については,平均は5.7回であったが,6回以上が38.4%であった(最高裁判所事務総局の資料による。)。
また,平成27年に公判前整理手続に付された事件の地方裁判所における審理期間(新規受理から終局処理まで)の平均は10.0月であり,平均開廷回数は5.1回であった(司法統計年報による。)。
なお,平成27年に第一審で判決を受けた裁判員裁判対象事件(裁判員裁判の対象事件及びこれと併合された事件)における審理期間の平均は9.2月であり,6月以内のものが32.9%を占めた。また,開廷回数の平均は4.7回であり,3回以下が34.9%,5回以下が約8割を占めた(最高裁判所事務総局の資料による。)。