本節でいう「窃盗」とは,UN-CTSの調査票における「Burglary/Breaking and Entering」,「Motor Vehicle Theft」及び「Theft」という3つの類型の総計をいう。
UN-CTSの調査票では,「Burglary/Breaking and Entering」(以下この節において「侵入盗」という。)について,建物,住居等に,窃盗目的で,不法に侵入すること(侵入した上での「窃盗」も含む。)とされている。「Motor Vehicle Theft」(以下この節において「自動車盗」という。)については,陸上走行するエンジン付車両(自動車,原動機付自転車,バス,貨物自動車,建設及び農業車両を含む。)を,その所有者の同意なく移動させることとされている。「Theft」については,他の者又は組織から,自己のものとする意図をもって,強制することなく財産を奪うこととされているが,別途計上することとされている,「侵入盗」,「自動車盗」及び「Robbery」(本章第2節参照)を除くこととされている(そのため,以下この節では「その他の窃盗」という。)。なお,我が国における「侵入盗」の発生件数としては,侵入盗(空き巣,出店荒らし等)の認知件数が,「自動車盗」の発生件数としては,乗り物盗のうち自動車盗及びオートバイ盗の認知件数が,「その他の窃盗」の発生件数としては,非侵入盗(万引き,車上ねらい等)の認知件数が,それぞれ計上されている(いずれも未遂を含む。)。
各国における「窃盗」の発生件数及び発生率の推移(2009年から2013年までの5年間)を手口別に見ると,1-3-3-1表のとおりである。
各国における2013年の発生件数を2009年の発生件数と手口別で比較すると,「自動車盗」は,いずれの国においても減少しているが,「侵入盗」と「その他の窃盗」の手口は,フランス及びドイツにおいて増加しており,特にフランスの「侵入盗」については,19.0%増と顕著である。
米国,英国及び我が国では,いずれの手口についても減少しているところ,「侵入盗」,「自動車盗」及び「その他の窃盗」の各手口について,それぞれの減少幅を見ると,米国において12.5%,12.1%,5.3%減,英国において17.8%,35.8%,9.9%減,我が国において,27.9%,32.9%,24.5%減であり,英国における「自動車盗」を除き,我が国は,いずれの手口についても,減少幅が最も大きい状況がうかがえる。