特別調査では,全国において,性犯罪を含む事件で懲役刑の有罪判決を受け,平成20年7月1日から21年6月30日までの間に,裁判が確定した者1,791人を対象とした。
特別調査の概要は,次のとおりである。
まず,全ての対象者(以下この章において「全対象者」という。)について,裁判が確定した事件(以下この章において「調査対象事件」という。)に係る刑事確定記録等に基づき,対象者の基本的属性や調査対象事件の概要及び裁判内容等の調査(以下この章において「全対象者調査」という。)を行った。この全対象者調査の結果については,第2節1項で紹介する。
次に,全対象者のうち,調査対象事件により実刑に処せられた者1,016人(以下この章において「性犯罪受刑者」という。)について,刑事施設の被収容者身分帳簿等に基づき,対象者の基本的属性や処遇状況等の調査(以下この章において「受刑者調査」という。)を行った。この受刑者調査の結果については,第2節2項で紹介する。
また,全対象者調査の結果を基に,女子及び来日外国人等を除いた1,753人について,調査対象事件中の性犯罪の罪名及び被害者の年齢等に着目した類型化を行い,類型ごとの分析を通してその特徴を見た。この結果については,第3節で紹介する。
さらに,全対象者のうち,調査対象事件の裁判確定から5年が経過した時点において服役中の者及び服役中に死亡した者を除いた1,526人について,刑事確定記録等を用いて,調査対象事件の裁判確定から5年が経過した時点までの再犯の有無及び再犯の内容等に関する調査(以下この章において「再犯調査」という。)を行うとともに,その結果を基に,再犯に関連する要因等を分析した。この再犯調査等の結果については,第4節で紹介する。
最後に,第3節の結果を基に,強姦又は強制わいせつを含む類型のうち,性犯罪前科のある者に着目し,そのうち調査のために必要な資料を入手できた232人について,裁判書等に基づき,その性犯罪前科に係る事件の概要及び裁判内容等に関する調査(以下この章において「性犯罪前科調査」という。)を行った。この性犯罪前科調査の結果については,第5節で紹介する。