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平成27年版 犯罪白書 第5編/第2章/第3節

第3節 人身取引被害者保護

人身取引は重大な人権侵害であり,刑法の改正(平成17年法律第66号)により人身売買罪が創設されたほか,平成21年12月,犯罪対策閣僚会議により人身取引対策行動計画2009が策定され,国及び地方公共団体は,その業務遂行の過程で人身取引被害者を発見,認知するよう積極的な対応に努め,警察,入国管理局,労働基準監督署等においても,違法事犯取締りの過程で人身取引被害者の発見に努めている。26年12月には,より総合的かつ包括的な人身取引対策に取り組んでいくため,人身取引対策行動計画2014が策定され,労働搾取を目的とした人身取引の防止や男性も含む人身取引被害者に対する一時保護機能の提供等の保護機能の強化等の施策が掲げられている。

発見された女性の人身取引被害者については,必要に応じ,婦人相談所等が一時保護を行い,又は民間シェルター等に一時保護を委託するなどして,その保護を行っており,婦人相談所等が一時保護を行った被害者数は,平成25年度は5人であり,26年度は24人(17年度以降の累計で352人)であった(厚生労働省雇用均等・児童家庭局の資料による。)。また,外国人の人身取引被害者については,被害者が不法残留等の入管法違反の状態にあっても,在留特別許可による法的地位の安定化を図っており,26年には4人(17年以降の累計で145人)の人身取引被害者全員に在留特別許可がなされた(法務省入国管理局の資料による。)。

このほか,国際移住機関(IOM)は,警察,入国管理局,婦人相談所等と連携し,人身取引被害者に対する帰国支援等の事業を行っており,平成26年には2か国6人(17年以降の累計で6か国258人)に対する帰国支援が行われた(国際移住機関の資料による。)。