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平成25年版 犯罪白書 はしがき

はしがき

情報通信技術の驚異的な進歩は,人,物,金,情報の国際的な流動化に拍車を掛け,グローバル化が進展している。グローバル化は,国家から,企業,個人に至るまでの様々なレベルで多様な利益をもたらし,我が国の持続的な成長に貢献し得るものであるが,他方において,国境を越えた流通に乗じた犯罪を容易にするなど負の側面も否定できない。

我が国は,国際社会と協力して,グローバル化の下で現れた国際的・越境的な側面の強い犯罪に対処し,グローバル化に伴うリスクを低減していかなければならない。また,最近の動向を踏まえた外国人犯罪にも適切に対処する必要がある。犯罪白書は,平成6年に「犯罪と犯罪者の国際化」を特集し,飛躍的に増加する来日外国人の動向を俯瞰するとともに,来日外国人による犯罪と,その防止のための方策について考察し,平成13年にも「増加する犯罪と犯罪者」の一つとして「犯罪の国際化と外国人犯罪」を取り上げた。その後,来日する外国人の数は我が国と世界の経済の動向に影響を受けて増減し,来日外国人の在留形態も変化してきた。近年の外国人犯罪者の中には,日本に生活基盤を有し,刑事処分終了後も日本に住み続ける者がいる。その再犯防止と社会復帰の過程では,言語,文化・習慣の違い等に配慮した多文化共生の視点も必要になってくると考えられる。

性別もまた,注目される犯罪者の特性の一つである。平成24年に犯罪対策閣僚会議が決定した「再犯防止に向けた総合対策」において,対象者の特性に応じた指導及び支援の強化が重点事項に掲げられ,女性犯罪者をその一類型として,女性の問題に着目した指導及び支援を行うこととした。犯罪白書は,平成4年に「女子と犯罪」を特集し,女子の犯罪は,弱い立場から抜け出せない女子,あるいは,家庭環境に問題をもつ女子少年によって犯されていると総括したが,それから20年以上が経過し,改めて女子の犯罪・非行の現状を分析し,その処遇について検討すべき時期にきている。

本白書は,平成24年を中心とした最近の犯罪動向と犯罪者処遇の実情を概観するのに併せ,「女子の犯罪・非行」と「グローバル化と刑事政策」を特集として取り上げた。各種統計資料に加え,女子矯正施設等における女子犯罪者の処遇の実態調査,矯正施設における外国人の受刑者及び少年院在院者に対する特別調査の結果等に基づいて,女子の犯罪・非行の現状を分析するとともに,グローバル化に伴う各種の犯罪や外国人犯罪者の現状を分析し,今後の刑事政策上の課題を浮き彫りにし,その対策の手掛かりを探ったものである。

本白書が,女子犯罪者と外国人犯罪者の再犯防止と社会復帰を促進する上で,また,グローバル化に対応した刑事政策の取組を進めるに当たり,多少なりとも寄与することができれば幸いである。

終わりに,本白書作成に当たり,最高裁判所事務総局,内閣府,警察庁,財務省,文部科学省,厚生労働省,国土交通省その他の関係各機関から多大の御協力をいただいたことに対し,改めて謝意を表する次第である。


平成25年11月


法務総合研究所長 酒 井 邦 彦