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 昭和40年版 犯罪白書 第二編/第三章/二/2 

2 保護観察の実施機構

 保護観察および環境の調査調整等の業務は,保護観察所長の指名する保護観察官が行なっている。保護観察官は,本章の一,において述べたように,一部(八八人)は地方委員会に配置されているが,その大多数(六五九人)は保護観察所に配置され,前記の業務にたずさわっている。保護観察のケースの保護観察官一人あたりの担当数(昭和三八年末の保護観察対象者数を保護観察官の定員で除した数)は,必ずしも保護観察官の業務負担量のすべてをあらわすものではないが,その業務の主体をなすものであるから,これをみると,一四一件にのぼっている。(もっともこの定員のなかには,保護観察所長および少数のケースしか担当し得ない課長も含まれているから,もっぱら保護観察業務に従事している保護観察官一人あたりの現実の担当数は,これをはるかに上回っている。)保護観察官は,これらの業務を遂行するにあたり,通常,保護司の協力をうけている。
 保護司は,法務大臣が委嘱する民間の協力者で,全国九二七(昭和三七年一月改訂)の保護区(法務大臣が,都道府県の区域を分けて設けた区域)に,五二,五〇〇人配属されている。保護司は,常時平均一・八人の保護観察対象者を担当し,その指導監督,補導援護にあたっている。保護観察の担当者(大部分は保護司)は,対象者と適当に接触を保ち,その行状をは握してその更生,再犯の防止等のため必要な措置をとるのであるが,その状況については,毎月一回定期に保護観察成績報告書で,また必要があるときは,そのつど適当な方法で,保護観察所長に報告することになっている。法務省保護局が昭和三九年五月分の成績報告書について調査したところによると,II-92表のとおり,対象者の約九三・八%は担当者と接触が保持されているが,対象者の逃避等のため接触のない者が二・九%ある。

II-92表 保護観察対象者一人あたりの接触回数と率(昭和39年5月)

 保護観察所長は,担当者からの報告にもとづき,それぞれ必要な措置をとるのであるが,後にふれる成績良好者に対する保護観察の解除や成績不良者に対する仮出獄の取消しの申請等の保護観察を打ち切るための措置を行なう場合には,特に担当者の報告は重要な基礎資料となるのである。
 以下保護観察所の活動の状況を示すために,その主要な業務である(1)在監,在院者の環境調査調整,(2)保護観察の実施状況,について述べることにする。