4 不良出版物などと犯罪 新聞,雑誌,ラジオ,テレビ,映画,演劇などが一般文化の向上に大きな役割を果していることはいうまでもないが,時にそれらの内容は犯罪発生助長的効果を持つことがありうる。このことは,不良出版物などのほか,最近とくにテレビについて論議されつつある。すなわち,一〇年前と今日とを比較すると,テレビの普及は余りにも顕著であるが,この普及に比例してテレビ放送における暴力的または性的に刺戟的な場合などが,とくに青少年に対し悪影響を与えてはいないかと懸念されるのである。この問題の研究は,わが国では目下実施の途上にあるように思われるが,中央青少年問題協議会の報告とアメリカにおける資料などによって判断するに,不良な放送の影響力はこれに接する青少年の性格によって異なり,ほとんど悪影響を受けない者もあるが,たとえば暴力的傾向の強い者や,性的に欲求不満を持った者には相当の影響を及ぼすことがありうるというのが結論の一部と思われる。
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