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ここに,昭和四〇年版の犯罪白書を刊行する運びとなった。犯罪白書は昭和三五年の創刊以来毎年刊行されてきたものであって,このたびの犯罪白書は六回目のものである。
犯罪白書の目的は,わが国の犯罪とその対策の現況を明らかにすることにある。ただ,それらの事実のうち一般的または基本的ともいうべきものは,毎年大きく変化するものではないから,それだけを記述する限り,犯罪白書の内容は,毎年大同小異となるきらいがないではない。そこで,創刊号においては一般的,基本的説明に重点がおかれたが,昭和三六年版以後は,そのほかに,毎年若干の問題をえらんでやや詳細な記述を行ない,その問題の特殊性にかんがみて犯罪白書に適当な副題を付するという方針がとられてきた。これに対して,このたびの犯罪白書は,過去五回にわたって刊行された犯罪白書の内容を参考としつつも,いわば創刊号の編集方針にもどって,一般的,基本的説明に重点をおくことにした。けだし,毎年特別の問題に関する記述を加えるのも一案ではあるが,おおむね五年ごとに一般的,基本的問題の反省に力を注ぐことも有意義であろうと考えたためである。この犯罪白書の副題が「犯罪の動向とその対策」となっているのは,このような事情を反映したものである。 なお,この犯罪白書の内容は,各種統計資料を入手する関係で,その大部分が昭和三八年までを中心とした記述となっているが,正確な資料が利用しうる限りは,昭和三九年にわたって記述を行なっている。 おわりに,この犯罪白書を作るについては,毎年のことではあるが,法務省各部局はもとより,最高裁判所事務総局および警察庁から援助を受けたことを記して謝意を表する。ただ,内容に関する責任はもっぱら当研究所が負うべきものであるこというまでもない。 昭和四〇年五月 長戸 寛美 法務総合研究所長 |