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平成24年版 犯罪白書 第7編/第4章/第3節

第3節 まとめ〜広く国民に理解され,支えられた社会復帰の実現に向けて

刑務所出所者等の再犯防止に向け,その社会復帰支援として,様々な取組が官民双方の協力の下に発展してきている。刑務所出所者等の社会復帰における公的機関・民間団体等の積極的な取組とその連携の充実・強化の重要性はこれまで述べてきたとおりであるが,一部の機関・団体の努力だけではその目的は達成し得ない。刑務所出所者等の社会的な孤立を防ぎ,長期にわたって見守り,支えていくことが必要であり,そのためには,社会復帰支援の重要性とその具体的な取組について,国民の理解を広めることも非常に重要である。犯罪をした者もいずれは地域に戻ってくる。自ら犯した犯罪や非行を真摯に悔い改め,立ち直りを目指して地域住民の一人として再び生活を始めようとする刑務所出所者等を地域が排斥するようであれば,その社会復帰はもとより再犯防止はおぼつかない。地域住民の理解を基盤に,地域社会の様々な分野・場面で刑務所出所者等を受け入れ,彼らを支える取組に国民全員が協力・参加あるいは支援することが促進されれば,広く国民に理解され,支えられた社会復帰を実現し,これを持続可能なものとすることができるであろう。それは,再犯を防止し,安全・安心な社会を作るということにとどまらず,刑務所出所者等を社会に貢献する一員として再統合し,積極的に国民全体の利益の増大を目指す営みにもなる。

裁判員制度も施行後4年目を迎えた。裁判員裁判では,一般市民である多くの裁判員が,量刑等の評議において,適正な処罰の在り方を模索する中で,矯正施設や保護観察における処遇の実状や刑終了後等の社会内の受け皿に目を向けることになった。同制度を一つのきっかけとして,犯罪者や非行少年の処遇や社会復帰支援に国民の関心が高まっている。

本年の特集は,これらの観点から,住居確保等と就労に関するものを中心に,刑務所出所者等の社会復帰支援の現状と課題をできるだけ分かりやすく説明し,有益な情報を国民に発信することをその大きな目的とした。この特集が何がしかの手がかりとなり,今後,これまで以上の広範囲にわたる官民の連携と,これを支える国民の積極的な協力や支援が進んでいくことを期待するものである。