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平成24年版 犯罪白書 第5編/第3章/第1節

第3章 犯罪被害についての実態調査
第1節 概説

刑事政策として効果的な治安対策を考える場合,その前提として,犯罪の発生状況を正確に把握しておくことが必要不可欠である。そのためには,<1>警察等の公的機関に認知された犯罪件数を集計する方法と,<2>一般国民を対象としたアンケート調査等により,警察等に認知されていない犯罪の件数(暗数)を含め,どのような犯罪が,実際どのくらい発生しているかという実態を調べる方法(暗数調査)がある。<2>の暗数調査は,定期的に実施することにより,<1>の認知件数との経年比較が可能となる。<1>と<2>は,犯罪情勢を知る上で言わば表裏一体のものであり,お互いを相補う形で活用することによって有効な刑事政策を考えることができる。

欧米の主要先進国では,かなり以前から暗数調査の重要性が認識され,米国や英国では30年以上前から,ほぼ毎年,全国規模の暗数調査が実施されており,犯罪統計と共に,刑事政策を考える上での重要な資料とされている。また,1989年(平成元年)には,犯罪被害の国際比較を目的として,国際犯罪被害実態調査(ICVS:International Crime Victims Survey)が開始され,その後もおおむね4年ごとに多数の国・地域で標準化された質問票を用いた調査が実施され,これまで78か国・地域の30万人を超える人々が参加している。

我が国では,法務総合研究所が,平成12年に,国際犯罪被害実態調査に参加して第1回犯罪被害実態(暗数)調査(12年調査)を実施し,以後4年ごとに,16年に第2回調査(16年調査),20年に第3回調査(20年調査),そして,直近では,24年1月に第4回調査(24年調査。なお,同調査は,「安全・安心な社会づくりのための基礎調査」と題して行われた。)を実施した。各調査は,層化二段無作為抽出法により全国から選んだ16歳以上の男女を調査対象者としているが,対象者数は各回で異なり,12年調査及び16年調査では3,000人,20年調査では6,000人,24年調査では4,000人であった。また,24年調査は,主に訪問調査員による聞き取り方式を用いた過去3回の調査と異なり,郵送調査(質問紙を調査対象者に郵送し,回答を記入の上返送してもらう方式)によった。