コンピュータ・電磁的記録対象犯罪(電磁的記録不正作出・毀棄等,電子計算機損壊等業務妨害,電子計算機使用詐欺及び不正指令電磁的記録作成等),支払用カード電磁的記録に関する罪及び不正アクセス禁止法違反の検挙件数(最近5年間)は,1-3-3-1表のとおりである。不正アクセス禁止法違反は,平成17年から急増していたが,23年は前年から激減し,検挙件数248件(前年比84.5%減),検挙人員114人(同8.8%減)となった。また,刑法の一部改正により新設された「不正指令電磁的記録作成等」により,3件が検挙された(警察庁生活安全局の資料による。)。
ネットワーク利用犯罪(インターネットを利用した詐欺,児童買春事案等,コンピュータ・ネットワークを利用した犯罪)の検挙件数(最近5年間)は,1-3-3-2表のとおりである。ネットワーク利用犯罪の検挙件数は,年々増加傾向にあり,平成23年は5,388件(前年比3.6%増)であった。罪名別に見ると,高水準にあった詐欺が,23年は前年から大幅に減少し,899件(前年比42.6%減)であった。詐欺のうち,389件(43.3%)はインターネット・オークションに係るものである(警察庁生活安全局の資料による。)。児童に対する性的な犯罪の検挙件数は,増加傾向にあり,23年は,前年に比べ,児童ポルノに係る犯罪及び児童買春はそれぞれ12.8%,8.3%増加し,出会い系サイト規制法違反の検挙件数も12.6%増加した。青少年保護育成条例違反の検挙件数は9.8%減少した。
なお,平成23年6月,刑法等が改正され(平成23年法律第74号),不正指令電磁的記録作成等(いわゆるコンピュータウイルスの作成・供用等)の罪の新設,わいせつ物頒布等の罪の処罰対象の拡充(わいせつな電磁的記録の電気通信の送信による頒布行為等の処罰)等が行われた(同年7月14日施行)。
さらに,サイバー犯罪の危険性の急速な増大に伴い,不正アクセス防止対策を強化することを目的として,平成24年3月,不正アクセス禁止法が改正され(平成24年法律第12号),他人のIDやパスワードの不正取得等の罪が新設され,不正アクセス行為に対する罰則も,法定刑の上限が懲役1年から3年に引き上げられるなど強化された(同年5月1日施行)。
わいせつ物頒布等の罪による検挙件数は,平成23年は前年から激増し,699件(前年の約3.2倍)となった。