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3 長期受刑者に対する保護観察処遇 重大事犯者は,受刑期間が長期にわたる者も多いが,長期受刑者は,通常,犯した犯罪が重大であり,長期間社会から隔離されていたことなどから,円滑に社会復帰する上で種々の困難があり,保護観察においては,そうした点に配慮した処遇が行われている。 (1)生活環境の調整 保護観察所では,受刑者が刑事施設に入所した初期の段階から,社会復帰に向けて,帰住予定地の状況を確かめ,改善更生に適した環境作りを働きかける生活環境の調整を行っているが,長期受刑者の場合,時間の経過とともに,高齢となった家族による引受けが困難になったり,予定されていた就労ができなくなるなど,状況が変化することも少なくなく,そうした場合には,家族のほか,地方自治体や福祉機関等とも連携して,新たな引受人や就労先を確保できるよう粘り強く生活環境の調整に努めている。 (2)長期受刑の仮釈放者に対する処遇 無期刑又は長期刑(執行刑期が10年以上の刑)で仮釈放が許された者は,社会復帰に種々の困難があるため,仮釈放後1年間は,段階別処遇(第2編第5章第2節2項(3)ア参照)において最上位の段階に編入し,必要に応じて複数の保護観察官が関与するなどし,頻繁に面接や家庭訪問を行って生活状況を綿密に把握するとともに,就労の援助や生活態度の指導を強めて生活の安定を図っている。 また,無期刑又は長期刑の仮釈放者は,社会の状況が受刑前と大きく変わっていることもあり,段階的に社会生活に復帰させることが適当な場合があるため,本人の意向も踏まえ,必要に応じ,仮釈放後1か月間,専門の指導員のいる更生保護施設で生活させて指導員による生活指導等を受けさせる「中間処遇」を行うことがある。指導員は,基本的な生活習慣,金銭管理,対人行動の在り方等を指導するほか,物価の状況や雇用情勢,交通機関の利用方法,公的サービスを受けるための手続等についても教示している。 |