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平成22年版 犯罪白書 第7編/第1章/第4節/2

2 保護観察

(1)保護観察の開始人員

7‐1‐4‐3図は,重大事犯について,仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の保護観察開始人員の推移(最近10年間)を見たものである。仮釈放者の保護観察開始人員は,強盗では,増加傾向にあるが,殺人,傷害致死,強姦及び放火では,最近,減少傾向にある。保護観察付執行猶予者については,殺人,強盗及び放火では,おおむね横ばいであるが,強姦では,減少傾向にあり,傷害致死では,最近,毎年0〜1人である。

7‐1‐4‐3図  保護観察開始人員の推移(罪名別)

(2)再処分等の状況

7‐1‐4‐4表は,重大事犯による保護観察が終了した仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の取消率,再処分率及び取消再処分率(取消率等の意義については,第3編第6章第4節2項参照)を,平成21年の終了者及び11年から20年までの間の終了者(累計)について見たものである。

仮釈放者の取消率及び取消再処分率は,強盗では,仮釈放者全体と同程度であるが,殺人,傷害致死,強姦及び放火では低い。また,平成21年に保護観察が終了した者の取消率,再処分率及び取消再処分率は,11年から20年までの間の終了者と比べ,仮釈放者全体でも,重大事犯のいずれの罪名でも,顕著に低く,殺人,傷害致死,強姦及び放火では,取消再処分率で見ても,1.1〜2.0%まで低下している。

7‐1‐4‐4表  保護観察終了者の取消率・再処分率・取消再処分率の状況(罪名別)

保護観察付執行猶予者においては,重大事犯のいずれの罪名でも,取消率,再処分率及び取消再処分率は,保護観察付執行猶予者全体と比べて顕著に低い。また,平成21年に保護観察が終了した者の取消率,再処分率及び取消再処分率は,11年から20年までの間の終了者と比べ,強姦及び放火では低い。傷害致死では,21年の終了者の再処分率及び取消再処分率は50%であるが,これは,終了者がわずか2人で,そのうちの1人が再処分を受けたためである。

7‐1‐4‐5表は,平成12年から21年までの間に重大事犯による保護観察が終了した仮釈放者及び保護観察付執行猶予者のうち,保護観察期間中に再犯により刑事処分等(刑事裁判については,その期間中に確定したものに限る。)を受けた者及び保護観察期間中に遵守事項違反又は再犯により仮釈放・保護観察付執行猶予が取り消された者について,保護観察の開始から刑事処分等又は取消しまでの期間を見たものである。

7‐1‐4‐5表  保護観察開始後の再処分・取消しを受けるまでの期間(罪名別)

7‐1‐4‐6図は,平成21年に重大事犯による保護観察を終了した仮釈放者及び保護観察付執行猶予者について,終了時の就労状況別に取消再処分率を見たものである。無職者の取消再処分率は,有職者と比べて顕著に高い。ただし,放火による保護観察付執行猶予者については,就労状況による違いはなく,また,傷害致死による保護観察付執行猶予者は,わずかに2人であり,いずれも有職であった。

7‐1‐4‐6図  保護観察終了者の取消再処分率(罪名別・就労状況別)