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平成22年版 犯罪白書 第5編/第2章/第2節/5

5 人身取引被害者保護

人身取引は重大な人権侵害であり,刑法の改正(平成17年法律第66号)により人身売買罪が創設されたほか,平成21年12月には,犯罪対策閣僚会議により人身取引対策行動計画2009が策定され,この計画に基づき,国及び地方公共団体は,その業務遂行の過程で人身取引被害者を発見,認知するよう積極的な対応に努め,警察,入国管理局,労働基準監督署等においても,違法事犯取締りの過程で人身取引被害者の発見に努めている。発見された女性の人身取引被害者については,必要に応じ,婦人相談所等が一時保護を行い,又は民間シェルター等に一時保護を委託するなどして,その保護を行っている。婦人相談所等が一時保護を行った被害者数は,21年度は14人(17年度以降の累計で242人)であった(厚生労働省の資料による。)。また,退去強制手続において,対象者が不法在留等の状態にあっても,人身取引被害者である場合には,在留特別許可を付与できることとされ,21年には11人(17年以降の累計では115人)の人身取引被害者全員に在留特別許可が付与された(法務省入国管理局の資料による。)。

このほか,国際移住機関(IOM)は,警察,入国管理局,婦人相談所等と連携し,人身取引被害者に対する帰国支援等の事業を行っており,平成21年には3か国32人(17年以降の累計で6か国176人)に対する帰国支援が行われた(国際移住機関の資料による。)。