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1 調査の概要 前節の冒頭に記したように,窃盗及び覚せい剤取締法違反は,再犯性が高く,また,これらの犯罪を繰り返す者の多くは,初回の裁判では執行猶予の判決を受け,2回目の裁判で実刑判決を受けているが,前節では,これらの犯罪により初めての執行猶予判決を受けた者を対象として,その判決時点での再犯要因等を分析した。これらの犯罪により受刑するに至った者について見ると,初入者(刑事施設への入所度数が1度の者をいう。以下,この節において同じ。)と比べ,2入者(刑事施設への入所度数が2度の者をいう。以下,この節において同じ。)の5年内再入率は顕著に高く,2入者のうち半数以上が5年以内に再び受刑している(7-2-3-7図参照)。こうした実態を踏まえ,また,初入者には,改善更生の余地を十分に残している者も比較的多いことも考慮すると,これらの犯罪による初入者を再び刑事施設に入所させないように有効な再犯防止策を講じることは,刑事政策上,重要であるし,大きな意義もあるといえる。 そこで,今回,窃盗及び覚せい剤取締法違反の初入者及び2入者を対象として,受刑にまで至った者の問題性を分析することを目的として,初入者と2入者での相違点も分析しながら,犯罪に至った動機・原因,背景事情,生活状況,対象者の意識等について特別調査を行った。 具体的には,この調査は,[1]窃盗又は覚せい剤取締法違反(覚せい剤の自己使用が含まれているものに限る。)により,平成21年4月20日から同年5月19日までの間に全国52の刑事施設において受刑していた者のうち,[2]過去に同一罪名の犯罪による前科を有する初入者及び初入時の罪名に同一罪名が含まれる2入者を対象とし,窃盗及び覚せい剤取締法違反のそれぞれについて600人(初入男子200人,2入男子200人,初入女子100人,2入女子100人),計1,200人の該当者に任意の協力を求め,得られた回答及び対象者の入所調査票を分析することにより実施した。 回答者(調査対象者)の内訳は,以下のとおりであった。 窃 盗 510人(男子358人,女子152人) 初入者 271人(男子180人,女子91人) 2入者 239人(男子178人,女子61人) 覚せい剤取締法違反 540人(男子355人,女子185人) 初入者 274人(男子180人,女子94人) 2入者 266人(男子175人,女子91人) |