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 平成21年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節 

第2節 保護観察

 保護観察は,その対象となる者の再犯を防ぎ,非行をなくし,その改善更生を図ることを目的として,その対象者に社会生活を営ませながら,保護観察官と,法務大臣から委嘱を受けた民間篤志家である保護司が,面接等の方法により接触を保ち行状を把握することや遵守事項等を守らせるなどの指導監督を行い,また,自立した生活ができるように住居の確保や就職の援助などの補導援護を行うことにより実施される。
 保護観察対象者は,保護観察期間中,遵守事項を遵守しなければならず,これに違反した場合には,仮釈放の取消しなどのいわゆる不良措置が執られることがある。遵守事項には,すべての保護観察対象者が守らなければならない一般遵守事項と,個々の保護観察対象者ごとに定められる特別遵守事項とがある。
 保護観察は,通常,1人の保護観察対象者を保護観察官と保護司が共に担当する協働態勢により実施されている。保護観察官は,保護観察開始当初において,保護観察対象者との面接や関係記録等に基づき,処遇の目標や指導監督及び補導援護の方法等を定めた保護観察の実施計画を作成する。保護司は,この実施計画に沿って,面接,訪問等を通じて保護観察対象者やその家族と接触し,指導・援助を行う。その経過は,毎月,保護司から保護観察所の長に報告され,保護観察官は,これを受けて,保護司との連携を保ちながら,必要に応じて保護観察対象者や関係者と面接するなどして,状況の変化に応じた処遇上の措置を講じている。なお,保護観察対象者に対する指導監督等を行うに当たり,保護司に過重な負担とならないよう,保護観察官は,保護司に対して十分に指導及び助言を行うとともに,保護司との緊密な連絡を保つべきこととされている。
 この節では,仮釈放者及び保護観察付執行猶予に付された者の保護観察の状況を見る。