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 平成18年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節 

第2節 保護観察

 保護観察は,その対象となる者(以下,本節において「対象者」という。本編第1章及び第4編第2章第1節の「概要」参照)の改善更生を図るため,対象者に通常の社会生活を営ませながら,保護観察官と法務大臣から委嘱を受けた民間篤志家である保護司が一定の遵守事項を守らせるなどの指導監督を行い,必要な補導援護を行うことである。指導監督の基準となる遵守事項は,対象者が保護観察を確実に受け,再犯・再非行することなく更生するために守るべき事項であり,すべての対象者が守らなければならない一般遵守事項と個々の対象者ごとに定められる特別遵守事項とがある。
 保護観察は,通常1人の対象者を,保護観察官と保護司が共に担当する協働態勢により実施されている。保護観察官は,保護観察開始当初において,対象者との面接や関係記録等に基づき,保護観察実施上の問題点や処遇方針等を明らかにし,処遇計画を立てる。保護司は,この処遇計画に沿って,面接,訪問等を通して対象者やその家族と接触し,指導・援助を行う。こうした経過は,毎月,保護司から保護観察所の長に報告され,これを受けた保護観察官は,保護司との連携を保ちながら,必要に応じて対象者や関係者と面接するなどして,状況の変化に応じた処遇上の措置を講じている。
 保護司は,全国を878(平成18年4月1日現在)の区域に分けて定められた保護区に配属され,保護観察の実施,犯罪予防活動等の更生保護に関する活動を行っている。
 保護司の定数は,保護司法(昭和25年法律第204号)により5万2,500人を超えないものと定められており,平成18年1月1日現在の人員は,4万8,688人である(法務省保護局の資料による。)。