第2章 刑事司法における被害者への配慮
第1節 犯罪被害者のための施策の動向 犯罪被害者のための施策に関し,近年,刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律(平成12年法律第74号。同年6月から13年6月にかけて施行。)及び犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成12年法律第75号。同年11月施行。)が施行されたほか,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進する犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)が,16年12月1日成立し,17年4月1日から施行された。 犯罪被害者等基本法は,犯罪被害者等の個人の尊厳を尊重し,被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間の必要な支援等を,犯罪被害者等の個別具体的事情に応じて適切に,かつ,途切れることなく受けられるような施策が講ぜられることを基本理念として掲げ,国に対しては,基本理念にのっとり,犯罪被害者等のための施策を総合的に策定し,実施する責務があることを,地方公共団体に対しては,基本理念にのっとり,国との適切な役割分担を踏まえて,犯罪被害者等のための施策を策定し,実施する責務があることを,それぞれ明示し,国民に対しても,犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに,犯罪被害者等のための施策に協力するよう努める責務があることを定めている。また,同法律は,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するために,政府において,総合的かつ長期的に講ずべき犯罪被害者等のための施策の大綱等を定める犯罪被害者等基本計画を定めなければならないとしており,平成17年12月の策定を目途に,現在,同計画の検討が進められている。
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