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 昭和39年版 犯罪白書 第三編/第三章/一/2 

2 仮釈放の決定機関とその取扱い状況

 仮釈放を許可するかどうかの決定は,高等裁判所管轄区域単位におかれている八つの地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という)の権限に属している。
 この権限は,地方委貝会委員三人で構成する合議体で行なうのであるが,この場合,各審理事件ごとに地方委員会の指名による主査委員が中心となって,収容者個々について,施設内の成績,行状はもちろん,性格,経歴,犯罪内容,さらに社会感情,帰住地の受入れの適否などをつぶさに調査するとともに,みずから本人に面接し,更生の適否を確かめるなど,慎重な審理を行なった上,合議体の評決によって,仮釈放の許否が決定される。
 最近五年間の地方委員会における仮釈放事件の受理状況はIII-65表のとおりであって,その取扱い人員を種類別にみると,仮出獄は逐年減少し,とくに昭和三六年以降は急減し,昭和三七年では昭和三三年に比し二〇%,七,〇二八名の減少である。仮出場は昭和三六年までは大きく減少し,昭和三七年にいたって,前年より若干増加している。少年院仮退院は昭和三五年まで増加し,以後漸減しているが,昭和三七年においても,なおわずかではあるが,昭和三三年の人員よりも多い。婦人補導院の仮退院は昭和三五年までは激増し,それ以後は激減している。このように,種類別では,その取扱い人員の増減に違いはあるが,全体の八〇%以上を占めている仮出獄が逐年減少しているため,総人員においては,漸次減少する傾向を示している。これは主として施設収容人員の減少によるものと思われる。

III-65表 仮釈放種類別新受人員(昭和33〜37年)

 したがって,地方委員会における仮釈放の審理は,取扱人員だけからみれば,漸次負担が軽減しているようであるが,審理の対象となるもののうち,累犯者,暴力犯罪者の占める割合が少なくないことなどから,慎重な審理を要するものは依然として多い。