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ここに,昭和三九年版の犯罪白書を刊行する運びとなった。犯罪白書は昭和三五年の創刊以来毎年刊行されて来たものであって,このたびの犯罪白書は五回目のものにあたる。
犯罪白書の目的は,わが国の犯罪の実情とその対策として実施されてきた諸制度ないし諸施策,換言すると,犯罪とその対策の現況を明らかにすることにある。ただ,それらの事実は毎年大きく変化するものではないので,昭和三六年版の犯罪白書以来,一般的すう勢のほかに,毎年特に若干の犯罪をえらんでその現況と対策についての問題点を記述する方針をとって来た。このたびの犯罪白書も従来の方針に従っており,特別の対象としては,近年一般の関心の的となっている暴力犯罪をとり上げることにした。すなわち,この犯罪白書の内容は四編から成り,第一編総論―犯罪の概観,第二編犯罪の捜査・検察および裁判,第三編犯罪者の処遇ならびに第四編少年犯罪となっているが,全体を通じて随所に暴力犯罪とくに暴力組織間係犯罪の現況と問題点について解説を試みている。この犯罪白書の副題が「暴力犯罪の現況と問題点」とされた理由も,そこにある。 なお,この犯罪白書の内容は,各種統計資料を入手する関係で,その大部分が昭和三七年度までを中心とした記述となっているが,正確な資料が利用しうる限り,昭和三八年度にもわたって記述を行なったところもある。 終りに,この犯罪白書を作るについては,毎年のことではあるが,法務省各部局はもとより,最高裁判所事務総局および警察庁から援助を受けたことを記して謝意を表する。ただ,内容に間する責任は,もっぱら当研究所が負うべきものである。 昭和三九年五月 長戸 寛美 法務総合研究所長 |