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 平成16年版 犯罪白書 第2編/第4章/第4節 

第4節 未決拘禁者等の処遇

 未決拘禁者は,拘置所又は刑務所若しくは少年刑務所の拘置区に収容されている。未決拘禁者の処遇は,逃走及び証拠隠滅を防止するとともに,被疑者又は被告人としての防御権を尊重しつつ,適正な収容生活を確保するよう配慮しながら行われている。居房は,原則として独居であり,雑居房に収容される場合でも,同一事件に関係のある者は,居房を別にし,居房外においても接触の機会がないよう配慮されている。
 未決拘禁者の場合は,受刑者と異なり,衣類・寝具は自弁が原則であり,飲食物・日用品も,施設の規律及び衛生に害のない限り広範囲に自弁が認められている。面会については,弁護人等との場合を除き,職員の立会がなされ,通信の内容については検閲が行われる。これらは,いずれも刑事訴訟法上の制限に加えて,拘禁の目的を阻害する場合,施設の規律・秩序の維持及び管理上やむを得ない場合に限り制限を受けることがある。図書,雑誌及び新聞紙の閲読は,拘禁の目的に反せず,かつ,施設の規律・秩序を害するおそれのない限り許されている。
 未決拘禁者は,いわゆる代用監獄(監獄法1条3項により拘置所等に代用される警察官署に附属する留置場)に拘禁される場合もある。代用監獄に収容された者の平成15年度(会計年度)の一日平均収容人員は,1万3,539人である(法務省矯正局の資料による。)。
 労役場留置者の処遇は,おおむね懲役受刑者に準じて行われている。平成15年中に,労役場に入所した者は6,236人で,うち2,150人は既に行刑施設に収容されている者について新たに労役場留置が執行されることになったものである(矯正統計年報による。)。
 監置に処せられた者に対する処遇は,面会,通信及び衣類の自弁に制限があること,飲食物の自弁が認められないことを除いて,未決拘禁者に準じて行われている。平成15年の監置場入所者は5人である(矯正統計年報による。)。
 死刑の判決が確定した者は,その執行に至るまで,拘置所に収容される。死刑確定者の処遇は,おおむね未決拘禁者に準じて行われている。また,願い出により,教誨師による宗教教誨,篤志面接委員による指導・助言も行われている。平成15年12月31日現在,死刑確定者の収容人員は56人である(矯正統計年報による。)。