前の項目 次の項目 目次 図表目次 年版選択 | |
|
5 執行猶予等 (1) 執行猶予 最近10年間の裁判確定人員について執行猶予率を見ると,懲役に対する執行猶予率は60%強,禁錮に対する執行猶予率はおおむね90%台前半で推移しており(2-3-2-1表参照),大きな変動はない。
執行猶予には,初度の執行猶予と再度の執行猶予があり,初度の場合は裁判所の裁量により保護観察に付されることがあり,再度の場合は必ず保護観察に付される。平成15年における執行猶予確定人員は5万6,537人であり,うち5万6,132人が初度の執行猶予,405人が再度の執行猶予であった。また,初度の執行猶予人員のうち,裁判所の裁量によって保護観察に付された人員は4,947人であった(検察統計年報による。)。 (2) 執行猶予の取消し 2-3-3-4表は,最近5年間における執行猶予取消人員を,取消事由別に見たものである。
平成15年における執行猶予取消人員は,前年より449人増加して7,290人となっており,取消事由は,再犯により禁錮以上の刑に処せられたことによるものが6,778人で,圧倒的に多数を占めている。 ある年次における執行猶予言渡し人員と,その年次における執行猶予取消人員とでは,その対象が異なるので,前者に対する後者の比率は,厳密な意味での執行猶予取消率とはいえないが,執行猶予取消しのおおよその傾向を知るため,この比率を算出すると,平成15年における執行猶予取消率及び保護観察付き執行猶予者の再犯による取消率は,それぞれ12.9%,28.2%となっている。これを罪名別(執行猶予言渡し人員総数及び保護観察付き執行猶予言渡し人員がいずれも100人以上のものに限る。)に見ると,執行猶予取消率は,覚せい剤取締法違反(27.4%)と窃盗(22.0%)が高く,保護観察付き執行猶予者の再犯による取消率は,覚せい剤取締法違反が47.9%と最も高く,次いで,恐喝(36.8%),窃盗(31.6%)の順となっている(検察統計年報による。)。 なお,執行猶予取消人員は,同一人に対し一つの裁判で2個以上の刑の執行猶予の言渡しが同時に取り消された場合もこれを1人として計算した。また,保護観察付き執行猶予者の再犯による取消率の算出に当たっては,再犯について禁錮以上の刑に処せられて執行猶予が取り消された場合のみを再犯による執行猶予の取消しとしており,再犯について罰金刑に処せられて執行猶予が取り消された場合を含まない。 2-3-3-4表 取消事由別執行猶予取消人員 |