2 裁判員の参加する刑事裁判の制度 平成16年5月28日,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)が公布された。同法律は,国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ,裁判員の参加する刑事裁判に関し,裁判所法(昭和22年法律第59号)及び刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の特則その他の必要な事項を定めるものである。 同法律により,裁判員の参加する刑事裁判は,原則として,死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に係る事件及び法定合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るものを対象とし,裁判官3人及び裁判員6人の合議体で取り扱われ,有罪・無罪の決定及び量刑の判断は,裁判官と裁判員の合議体の過半数であって裁判官及び裁判員のそれぞれの1人以上が賛成する意見によるとされた。また,裁判員は,衆議院議員の選挙権を有する者の中から,1年ごとに無作為抽出で作成される裁判員候補者名簿から事件ごとに無作為抽出した上で,質問手続を経て選任するが,一定の欠格事由,就職禁止事由等に該当する者,不公平な裁判をするおそれがある者及び当事者から理由を示さない不選任請求をされた者は,裁判員となることができず,一定の辞退事由に該当する者は,裁判員となることを辞退することができるとされている。 なお,同法律は,公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとされており,政府及び最高裁判所は,この法律の施行までの期間において,国民が裁判員として裁判に参加することの意義,裁判員の選任の手続,事件の審理及び評議における裁判員の職務等を具体的に分かりやすく説明するなど,裁判員の参加する刑事裁判の制度についての国民の理解と関心を深めるとともに,国民の自覚に基づく主体的な刑事裁判への参加が行われるようにするための措置を講ずるとされている。
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