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 平成15年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/1 

1 犯罪被害者等に対する給付金支給制度

 犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律は,昭和49年に発生した過激派集団による無差別爆破事件を契機に,こうした爆弾事件やいわゆる通り魔殺人の被害者が実質的にはほとんど救済されないという実情から,この制度の新設を求める世論が高まったという社会的背景の下,55年5月1日に公布され,翌56年1月から施行された。
 その後,平成7年の地下鉄サリン事件等の無差別殺傷事件の発生等を契機に,被害者の置かれた悲惨な状況が広く国民に認識されるに伴い,犯罪被害給付制度の拡充を始めとして被害者に対する支援を求める社会的な機運が急速に高まったことを踏まえ,前記犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律により,支給対象及び支給額の拡充が図られた。
 同法は,人の生命又は身体を害する犯罪行為により,不慮の死を遂げた者の遺族又は重傷病を負い若しくは障害が残った者に対し,国が犯罪被害者等給付金(以下,「給付金」という。)を支給することについて定めている。これは,加害者側に資力がないことなどから,被害者やその遺族が事実上救済の道を閉ざされている場合があることを考慮し,これを救済するために設けられた制度である。
 3―2―2―1表は,最近10年間の犯罪被害に対する給付金申請・支給状況を見たものである。

3―2―2―1表 犯罪被害に対する給付金申請・支給状況

 給付金は,一時金であり,犯罪行為により死亡した者の遺族に支給される「遺族給付金」と障害が残った者に支給される「障害給付金」,犯罪行為により重傷病を負った者に支給される「重傷病給付金」の3種類がある。犯罪被害者等給付金の支給申請は,住所地を管轄する都道府県公安委員会に対して行い,これに基づき,都道府県公安委員会が支給に係る法定要件を確認するとともに,犯罪被害に関する事実関係等を明らかにし,犯罪被害者等給付金を支給するか否か裁定する。なお,支給申請は,犯罪被害の発生を知った日から2年を経過したとき,又は犯罪被害が発生した日から7年を経過したときは,することができない。