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 平成15年版 犯罪白書 第2編/第4章/第2節/2 

2 仮出獄の運用

 2―5―2―1図は,平成5年以降における仮出獄申請受理人員,仮出獄人員及び仮出獄率の推移を見たものである(巻末資料2―12参照)。

(1) 仮出獄申請受理人員

 仮出獄申請受理人員について近年の状況を見ると,平成4年に1万3,249人と戦後初めて1万3,000人台前半の数値を示し,以降10年まで1万3,000人台で推移していたが,11年に1万4,179人となり,その後も毎年増加を続け,14年には1万7,173人に達している。
 拘留受刑者及び労役場留置者の仮出場並びに婦人補導院からの仮退院については,近年,該当者がない状態が続いていたが,平成12年及び14年には,仮出場を許可された者が各1人あった(13年には該当者はなかった。)。

2―5―2―1図 仮出獄申請受理人員,仮出獄人員及び仮出獄率の推移

(2) 仮出獄人員と仮出獄率

 仮出獄人員についても,仮出獄申請受理人員と類似の傾向が見られ,平成4年に1万2,417人となり,戦後初めて1万3,000人を切り,以降10年までは1万2,000人台で推移していたが,11年,12年には1万3,000人台となり,13年は1万4,423人,14年は1万5,318人と増加している。また,仮出獄率は,昭和57年に50.8%と,戦後最も低い数値を示したが,翌58年に53.7%と上昇した後,59年以降は55%台から58%台で推移している。14年は前年と同率の56.1%となっている。

(3) 仮出獄申請の棄却率

 2―5―2―2表は,最近3年間における,仮出獄申請に対する棄却率を,刑の種類等の別に示したものである。無期刑及び5年を超える有期刑の棄却率は,相対的に高く,平成14年で無期刑が33.3%,5年を超える有期刑が11.5%となっている。

2―5―2―2表 刑の種類・刑期別仮出獄許否状況

(4) 仮出獄を許可された者に対する刑の執行率等

 2―5―2―3図は,最近の5年間の各年において仮出獄を許可された者(不定期刑及び無期刑の者は除く。)に関し,刑の執行率(執行すべき刑期のうち,仮出獄により出所するまでに執行された刑期の比率)を見たものである。90%以上の層の占める比率が低下する一方で,執行率が70%未満及び80%未満の層の占める比率が上昇傾向にある。
 2―5―2―4図は,平成14年に仮出獄を許可された者の刑の執行率について,累犯者・非累犯者別及び刑期別に示したものである。累犯者・非累犯者別に見ると,非累犯者は,累犯者と比べ刑の執行率が低くなっている。刑期別に見ると,刑期1年以下の者は,刑の執行率が80%以上90%未満の層が約5割を占め,刑の執行率が90%以上の層を加えると,約7割を占め,他の刑期の者と比べ,執行率が高い。
 また,2―5―2―5表は,最近10年間に仮出獄を許可された無期刑受刑者について,行刑施設における在所期間別人員を見たものである。

2―5―2―3図 仮出獄を許可された者の刑の執行率の推移

2―5―2―4図 仮出獄を許可された者の刑の執行率(累犯者・非累犯者別及び刑期別)

2―5―2―5表 行刑施設在所期間別に見た無期刑仮出獄許可人員

(5) 帰住予定地の環境調整

 保護観察所においては,行刑施設及び少年院における被収容者の社会復帰を円滑にするため,その者が収容された直後から継続的に,家族その他の引受人との調整を行い,本人の社会復帰のため最も適した環境を準備する環境調整を実施している。
 平成14年においては,受刑者4万3,997人及び少年院在院者7,247人の計5万1,244人について環境調整を新たに実施し,同年12月31日現在,受刑者・少年院在院者を合わせて5万6,308人について環境調整を実施中である(保護統計年報による。)。