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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第5章/第7節/3 

3 捜査・司法に関する国際共助

(1) 捜査共助等

ア 我が国からの外国に対する捜査共助等の要請
 我が国の刑事事件の捜査(公判における補充捜査を含む。)に必要な証拠の収集について外国に共助を求める場合,検察庁又は警察等が外交ルートを通じてこれを行っている。
 通常,検察庁の依頼によって共助の要請をする場合は,「検察庁→法務省→外務省→在外日本公館→相手国の外務省」,警察の依頼による場合には,「都道府県警察→警察庁→外務省→在外日本公館→相手国の外務省」という経路をたどり,それぞれ,当該国の司法当局等がこれを実施することとなる。
 また,外国等に対して,刑事事件の捜査に必要な情報や資料の提供等の協力を求める方法としては,国際刑事警察機構(ICPO)ルートによる方法もある。この場合は,一般に,各都道府県警察の協力の依頼が,ICPOの我が国における国家中央事務局である警察庁を通じて,ICPOに加盟している外国の警察に伝達され,当該警察において処理されることとなる。
 IV-82図は,最近10年間の捜査共助件数の推移である。

IV-82図 捜査共助件数の推移

 検察庁の依頼により我が国から外国に対して,外交ルートによって要請した捜査共助について見ると,この10年間の嘱託件数は合計で165件,相手国(地域を含む。)は27か国となっており,嘱託件数,相手国数共に,おおむね増加する傾向にある。
 このほか,警察の依頼により我が国から外国に対して,外交ルートにより行った捜査共助の要請を最近3年間について見ると,平成10年12件,11年9件,12年13件となっている(警察庁長官官房国際部の資料による。)。
イ 外国からの我が国に対する捜査共助等の要請
 外国の刑事事件の捜査に必要な証拠の提供等について我が国が外国等から協力を求められた場合の手続等に関しては,国際捜査共助法(昭和55年法律第69号)に規定が設けられている。同法には,外国から証拠の提供の要請を受けた場合とICPOから協力の要請を受けた場合について,それぞれの手続が定められている。
 最近10年間における,外交ルートによる外国から我が国に対する捜査共助要請の受託状況は,IV-82図のとおりである。受託件数は,合計で209件,要請国は30か国(地域を含む。)となっている。

(2) 司法共助

 我が国と外国とが,刑事裁判関係書類の送達や証拠調べに関して協力する司法共助には,[1]我が国の裁判所からの嘱託に基づいて,外国の裁判所が行う場合,[2]我が国の裁判所からの嘱託に基づいて,外国に駐在する我が国の領事官が行う場合,[3]外国の裁判所からの嘱託に基づいて,我が国の裁判所が行う場合,[4]外国の裁判所からの嘱託に基づいて,我が国に駐在する外国の領事官が行う場合の四つの種類がある。
 こうした刑事裁判関係書類の送達や裁判段階における証拠調べに係る国際間の協力に関する根拠規定としては,アメリカ,連合王国及びイタリア等との間で司法共助に関する二国間の取極を行っている。これら取極による司法共助のほか,個別的な外交折衝に基づき,前記四つの種類の司法共助が行われている。
 このうち,前記[3]の,外国の裁判所からの嘱託に基づいて,我が国の裁判所が司法共助を行う場合については,外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法(明治38年法律第63号)が,外国の裁判所から我が国の裁判所に対し外交機関を経由するなど一定の条件を具備した嘱託がなされたときは,我が国の裁判所は,民事及び刑事の訴訟事件に関する書類の送達及び証拠調べにつき,国内法に従って法律上の「輔助」を行うことを規定している。
 最近10年間において,我が国の裁判所が外国の裁判所に対して嘱託した司法共助について見ると,平成4年以降6年までは毎年1件ずつ,7年に2件,8年に1件,9年に3件,10年に2件,11年に2件,12年に3件それぞれ書類送達の嘱託が行われている(最高裁判所事務総局刑事局の資料による。)。