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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第5章/第4節 

第4節 外国人受刑者に対する実態調査

 法務総合研究所では,近年,著しく増加しているF級受刑者(日本人と異なる処遇を必要とする外国人)の実態と意識を明らかにするため,調査当時,F級収容施設に指定されていた全国の12の矯正施設のうち,九つの刑務所(栃木,黒羽,府中,横浜,名古屋,大阪,神戸,広島及び福岡の各刑務所)(「調査対象施設」という。以下,本節において同じ。)の協力を得て,同施設に収容中のF級受刑者を対象として,特別調査を実施した。なお,F級受刑者全体の推移については,本章第3節3(1)IV-70図を参照されたい。
 本調査はすでに平成2年(以下「2年調査」という。)及び5年(以下「5年調査」という。)の2回にわたり実施されており,今回調査は,その第3回目として位置付けられるものである。
 2年調査当時は全国で三つであったF級受刑者受入れ施設は,その後,同受刑者の急増に対応するため,順次増やされているほか,国際対策室の設置,職員の語学研修等様々な対策がなされてきたところではあるが,なお検討すべき課題も多い。そこで,日本人受刑者とは異なる特質を有する外国人受刑者を適正に処遇するために,過去約10年の継続調査の中から,F級受刑者の質がどのように変わったのか,その変化を読み取ることを今回調査の目的とした。
 今回調査で使用した「調査票」(職員が記入するもの)及び「質問用紙」(F級受刑者が記入するもの)は,2年調査及び5年調査で使用したものに,今回新たに数項目を加えたものとなっている。
 調査対象者は,平成12年11月1日現在,調査対象施設に収容中のF級受刑者全員であり,1,236人(男子1,147人,女子89人)である。
 以下,主要な調査項目について,2年調査及び5年調査の結果との比較を中心に記述する。