第5節 未決拘禁者等の処遇 未決拘禁者は,拘置所又は刑務所若しくは少年刑務所の拘置区に収容している。未決拘禁者の処遇は,逃走及び証拠隠滅を防止するとともに,被疑者又は被告人としての防御権を尊重しつつ,適正な収容生活を確保するよう配慮しながら行われている。居室は,原則として単独室であり,共同室に収容される場合でも,同一事件に関係のある者は,居室を別にし,居室外においても接触の機会がないよう配慮されている。 未決拘禁者の場合は,受刑者と異なり,衣類・寝具は自弁が原則であり,飲食物・日用品も,施設の規律及び衛生に害のない限り広範囲にわたり自弁が認められている。面会及び通信は,施設の管理上やむを得ない場合等を除き,特別の制限はないが,通信の内容については,検閲が行われる。弁護人との面会には立会人を付けない。図書,雑誌及び新聞紙の閲読は,未決拘禁の目的に反せず,かつ,施設の規律を害するおそれのない限り許されている。 未決拘禁者は,いわゆる代用監獄(監獄法1条3項により拘置所等に代用される警察官署付属の留置場)に拘禁される場合もある。代用監獄に収容された者の平成12年(会計年度)の一日平均収容人員は,1万572人となっている(法務省矯正局の資料による。)。 労役場留置者の処遇は,おおむね懲役受刑者に準じて行われている。平成12年中に,労役場に入所した者は3,669人で,うち,1,648人は既に行刑施設に収容されている者について新たに労役場留置が執行されることとなったものである(矯正統計年報による。)。 監置に処された者に対する処遇は,面会,通信及び衣類の自弁に制限があること,飲食物の自弁が認められないことを除いて,未決拘禁者に準じて行われている。平成12年の監置場入所者は16人である(矯正統計年報による。)。 死刑の判決が確定した者は,その執行に至るまで,拘置所に収容される。死刑確定者の処遇は,おおむね未決拘禁者に準じて行われている。死刑確定者は個室に収容され,作業は課されないが,請願作業を行っている者もいる。また,教誨師による宗教教誨,篤志面接委員による指導・助言等の心情安定を目的とした取組も行われている。平成12年12月31日現在の死刑確定者の収容人員は53人である(矯正統計年報による。)。
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