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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第6章/第2節/2 

2 犯罪被害に関する認識

 V-28図は,「被害者にどの程度の被害を与えたのか,知っていますか」と尋ねた結果を,非行名別に示したものである。総数では,「知っている」が86.4%,「知らない」が13.6%であり,ほとんどの者がどの程度の被害を与えたかについて認識している。非行名別に見ると,窃盗,恐喝及び強姦等で「知らない」とする者の比率が高くなっている。

V-28図 非行名別加害認識の有無

 V-29図は,「被害者に精神的な被害を与えましたか」と尋ねた結果を,非行名別に示したものである。「わからない」とする者が総数では29.9%であるが,半数以上の者が「精神的被害を与えた」と回答し,「与えていない」と回答した者は14.3%である。非行名別に見ると,「大きな精神的被害を与えた」と答えた者は,強姦等で89.7%と,その比率が他と比べて高くなっており,強姦等による精神的被害の大きさについて,大半の加害少年が認識していることがうかがえる。
 さらに,「精神的な被害を与えた」とするものについて,そのことを,いつ,だれから知ったかについて重複選択で回答を求めた結果を見ると,「警察・検察の取調中」が55.4%と半数以上を占めており,次いで,「事件のとき」29.1%,少年院に「入院してから」26.5%となっている。また,だれから知ったかについては,「自分で」が52.8%で最も高く,次いで,「警察の人」49.1%,「裁判所の人」22.9%,「自分の家族・親せきの人」20.6%,「検察の人」14.7%,「施設の人」13.9%,「自分の弁護士」6.5%,「被害者やその家族,弁護士など」5.1%の順となっている。

V-29図 非行名別精神的被害の認識

V-78表 非行名別被害者の生活への影響

V-79表 非行名別被害者の家族への影響

 V-78表及びV-19表は,被害者の生活に与えたその他の影響及びその家族に与えた影響について,重複選択で尋ねた結果を見たものである。ほとんどの者が,自らの非行が,被害者及びその家族に何らかの影響を与えたという意識をもっていることがうかがえる。殊に,殺人等及び強姦等の被害の深刻さ,影響の複雑さについて認識している加害少年が多い。