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法務総合研究所では,加害者が長期刑(無期刑及び執行すべき刑期が8年以上の刑)で受刑中である生命・身体犯(本章では,殺人,強盗,強姦,強制わいせつ,傷害及びその他の犯罪により人を死傷させたものをいう。)に係る犯罪被害の実情,被害者又は遺族の感情,被害後の生活の変化や後遺症状,被害弁償,慰謝・慰霊等の実態を明らかにするとともに,被害者又は遺族が加害者や保護観察所など刑事司法機関に対して求める事項を把握することを目的として,全国の保護観察所等の協力を得て面接調査を実施した。
調査対象は,平成9年9月30日現在,全国の地方更生保護委員会が刑務所から身上調査書を受理し,仮釈放の要件となる法定期間(第2編第5章第2節1(3)参照)を経過した長期刑受刑者に係る生命・身体犯の被害者又は遺族(以下,本章において「被害者等」という。)のうち,事案の内容や被害者等の状況からみて調査を実施することが不適当と判断したもの等を除き,被害者等が本調査に同意した94件である。なお,調査対象の被害者等は,男性56人(59.6%),女性38人(40.4%)で,平均年齢は56.3歳である。 調査対象事件の罪名はV-49表のとおりである。また,調査対象事件の刑名・刑期は,無期懲役が34件(36.2%),有期懲役(定期刑)が57件(60.6%),有期懲役(不定期刑)が3件(3.2%)であり,定期刑の刑期の平均は12.5年である。 事件から本調査実施日までの経過年数はV-50表のとおりであり,経過年数の平均は約12年8か月となっている。 V-49表 調査対象事件の罪名 V-50表 事件から調査までの経過年数 加害者と被害者の関係は,V-51表のとおり,「かかわりなし」が48.9%を占めており,次いで,「仕事関係の知人」,「友人」,「その他の知人」の順となっている。また,調査対象の被害者等について,被害者との関係を見ると,V-52表のとおり,被害者本人が5人のほかは遺族で,被害者との関係では,「父母」が最も多く,次いで1子ども」,「兄弟姉妹」,「配偶者」の順となっている。 V-51表 調査対象事件の加害者と被害者との関係 V-52表 調査対象者と被害者との関係 |