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1 犯罪被害者等に対する給付金支給制度 犯罪被害者等給付金支給法は,昭和49年に発生した過激派集団による無差別爆破事件を契機に,このような爆弾事件やいわゆる通り魔殺人の被害者が実質的にはほとんど救済されないという実情から,この制度の新設を求める世論が高まったという社会的背景の下,55年5月に公布され,56年1月から施行された。
同法は,人の生命又は身体を害する故意の犯罪により,不慮の死を遂げた者の遺族又は重障害を受けた者に対し,国が犯罪被害者等給付金(以下「給付金」という。)を支給することについて定めている。これは,加害者側に資力がないことなどから,,被害者やその遺族が事実上救済の道を閉ざされている場合があることを考慮し,これを救済するために設けられた制度である。 V-11表は,同法が施行された昭和56年1月1日から平成10年12月31日までの18年間における同法の運用状況を見たものである。 同制度による給付金は,支給を受けようとする者が都道府県公安委員会に申請し,その裁定によって支給される。申請の期間は,当該犯罪被害の発生を知った日から2年又は当該犯罪被害が発生した日から7年である。また,同公安委員会は,速やかに裁定をすることができない事情があるときは,その決定によって仮給付金を支給することができる。 V-11表 犯罪被害に対する給付金申請者数・支給裁(決)定者数・支給裁(決)定総額 給付金は,一時金であり,死亡した者の遺族に支給される「遺族給付金」と重障害の被害者に支給される「障害給付金」がある。支給額は,政令の定めによって算定する給付基礎額に,遺族給付金の場合は遺族の生計維持の状況を勘案し,また,障害給付金の場合は障害の程度を基準として政令で定める倍数を乗じて得た額である。政令の定めによる被害者一人当たりの給付限度額は,犯罪被害者等給付金支給法が施行された昭和56年では障害給付金が951万4,000円であった(昭和55年政令第287号)が,その後数回にわたり政令が改正されて限度額が引き上げられており,平成11年3月31日現在における被害者一人当たりの給付金限度額は,遺族給付金では1,079万円,障害給付金では1,273万円である(平成6年政令第174号)。V-3図は,昭和56年1月1日から平成10年12月31日までの間における遺族給付金支給裁(決)定者(給付金を受領した遺族)と被害者との関係の構成比を見たものである。 V-3図 遺族給付金支給裁(決)定者と被害者との関係別構成比 |