前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成11年版 犯罪白書 第2編/第6章/第3節/1 

第3節 犯罪者の国外逃亡と逃亡犯罪人の引渡し

1 犯罪者の国外逃亡

 日本国内で犯罪を犯して国外に逃亡した被疑者の数について,最近10年間の推移を見たのがII-26図である。近年増加傾向にあった国外逃亡被疑者数は,平成8年には減少して293人となったが,9年以降は再び増加して10年には381人(前年比11.7%増)となっている。これを国籍(地域を含む。)別に見ると,中国が130人(総数の34.1%)で最も多く,次いで,日本93人(同24.4%),韓国・朝鮮21人(同5.5%),イラン18人(同4.7%),香港15人(同3.9%),タイ15人(同3.9%),台湾14人(同3.7%)等となっている。
 平成10年の国外逃亡被疑者を罪種別に見ると,刑法犯の被疑者298人(うち,日本国籍66人)の内訳は,窃盗犯が113人(同12人)で最も多く,以下,凶悪犯(ここでは,殺人,強盗,放火及び強姦をいう。)102人(同11人),知能犯(ここでは,詐欺,横領,偽造,贈収賄及び背任をいう。)48人(同33人),粗暴犯(ここでは,暴行,傷害,脅迫,恐喝及び凶器準備集合をいう。)15人(同9人)等となっている。また,特別法犯の被疑者83人(同27人)の内訳は,入管法違反が34人(同5人)で最も多く,次いで,薬物関係事犯(ここでは,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反及び大麻取締法違反をいう。)29人(同11人),銃刀法違反3人(同2人)等となっている。
 平成10年の国外逃亡被疑者について,その推定逃亡先国(地域を含む。)を被疑者数の多い順に見ると,中国59人(うち,日本国籍8人),フィリピン30人(同26人),韓国・朝鮮16人(同5人),アメリカ15人(同14人),台湾14人(同0人),香港8人(同1人)等となっている。
 平成10年の国外逃亡被疑者381人のうち,出国年月日が判明している被疑者は110人(うち,日本国籍36人)である。この110人の出国日が,それぞれの犯行日から何日目であったかについて見ると,犯行当日が5人(同3人),犯行翌日が13人(同5人),2日後が6人(同2人),3日後が5人(同2人),4日後が6人(同1人)等となっている。犯行後10日以内に国外に逃亡した被疑者は合計で44人(40.0%),犯行後30日以内に国外に逃亡した被疑者は合計で58人(52.7%)である(警察庁刑事局の資料による。)。

II-26図 国外逃亡被疑者数の推移