5 少年院の処遇 昭和24年1月に少年法とともに施行された少年院法においては,[1]少年院の教育的性格が法文上明確にされ,また,教科及び職業の補導等,その教育内容が規定され,[2]年齢,性別,犯罪傾向の程度等に応じて,初等,中等,特別及び医療の4種類の少年院が設けられるなど,分類収容の原則が明示され,[3]教科教育のうち,特に義務教育の保障が掲げられ,[4]進歩改善の程度に応じて順次向上した取扱いをするなどの段階処遇の制度が導入された。 昭和52年には,少年院の処遇を短期処遇と長期処遇に分け,短期処遇については,一般短期処遇と交通短期処遇に区分した。55年には,矯正教育の標準的枠組みの整備が図られ,平成3年には,従来の交通短期処遇は交通事犯以外の一般事件の少年をも対象に含めた特修短期処遇へと発展的に改編されるなどした。8年には,新たな教育課程の編成,実施及び評価の基準が定められ,少年院教育の一層の充実が推進されることとなった。 少年院の新収容人員は,昭和26年に約1万1,000人となり,その後は減少し,49年には約2,000人と最低を記録したが,50年から増加に転じ,60年には約6,100人となった。しかし,61年以降は漸減傾向にあり,平成8年は約4,200人である。 新収容者の非行名別構成比については,昭和26年には約70%であった窃盗の比率が,その後も一貫して最も高い比率を占めているものの,年を追って低下する傾向にあり,平成8年には約35%となっている。また,近年は,粗暴非行,薬物非行,交通非行の比率が高まる傾向にある。
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