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 平成 9年版 犯罪白書 第2編/第8章/第1節 

第8章 刑事司法における国際協力

第1節 概  説

 国際犯罪として行われる麻薬取引やテロ,あるいは国際犯罪組織の活動は一国だけでの対処は難しく,国際連合や主要先進国首脳会議(サミット)等において国際的な取組が展開されている。
 また,国際協力の他の側面として,国内の刑事手続,犯罪者の処遇についても,国際連合の基準・規則や勧告の履行の促進,情報の交換,関係職員の研修等を通じて,各国における刑事司法制度の水準の維持・向上を図る試みがなされている。
 一方,最近の我が国の犯罪情勢を見ると,犯罪地が外国であったり複数国にまたがったりするなど,犯罪そのものの面での国際化現象と,来日外国人による犯罪が増加するなど,犯罪者の面での国際化現象とが見られる。こうした犯罪及び犯罪者の国際化は,国外逃亡事例の増加をもたらしているほか,刑事手続にも影響を及ぼし,これへの適切な対処が求められている。
 本章では,刑事司法の分野における国際的な動向と我が国のかかわり,犯罪者の国外逃亡,刑事手続における国際協力等の現状を概観する。