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 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第3章/第2節/2 

2 強  盗

 強盗の認知件数,検挙件数及び検挙人員の推移は,I-7図のとおりである(巻末資料I-4参照)

I-7図 強盗の認知件数・検挙件数・検挙人員の推移(昭和21年〜平成8年)

 強盗の認知件数は,昭和23年の1万854件をピークに,28年まで急激に減少し,その後も長期的な減少を示して,60年からは年間1,000件台となったが,平成元年を底として2年以降増加傾向を示した。特に,6年には最近25年間で最も多い2,684件を記録するなど,元年からの6年間で70%近く増加した。8年も,前年と比べて認知件数は186件(8.2%)増加して2,463件,検挙件数は92件(4.9%)増加して1,974件,検挙人員は221人(10.2%)増加して2,390人となっている。
 検挙率は,昭和20年代後半から50年代に入るまでほぼ80%台前半で推移していた。その後70%台後半の水準が続き,平成4年に60%台まで一時低下したが,5年以降は80%前後に回復している。8年は80.1%である。また,発生率は,昭和20年代前半に10から14の間を推移した後はおおむね低下する傾向にあったが,平成元年に1.3となって以降,上昇が認められる。8年の発生率は2.0である。
 なお,強盗のうち,特に凶悪な事件である強盗致死(警察庁の統計では強盗殺人罪),強盗致傷(同強盗傷人罪)及び強盗強姦(同強盗強姦罪で,強盗強姦致死を含む。)の認知件数の推移を見たものがI-8図である(巻末資料I-4参照)。ここでは,強盗全体の認知件数の推移とは異なる傾向が認められる。

I-8図 強盗致死・強盗致傷・強盗強姦の認知件数の推移(昭和21年〜平成8年)

 強盗致死の認知件数は昭和21年が最も多く,その後はおおむね減少しており,強盗全体に占める比率も減少傾向にある。強盗致傷は,認知件数のピークが30年代前半にあり,その後減少したが,平成3年以降再び増加傾向にある。強盗強姦は,昭和30年から50年代半ばまで,増減は認められるものの年間100件台で推移しており,その後も80件前後が続いている。
 強盗の対象について,集計が行われるようになった昭和60年以降の深夜スーパーマーケットを対象とした強盗事件及び最近15年間の金融機関を対象とした強盗事件の発生状況は,それぞれI-2表及びI-3表のとおりである(警察庁刑事局の資料による。)。

I-2表 深夜スーパーマーケット強盗事件の認知件数・検挙件数・検挙率

I-3表金融機関強盗事件の認知件数・検挙件数・検挙率

 平成8年における深夜スーパーマーケット強盗事件の認知件数は,前年と比べて約27%増加しており,元年の5倍近くに至っている。また,検挙率が50%台を中心に推移しており,強盗全体の検挙率に比べて低くなっている。次に,金融機関を対象とする強盗事件の認知件数は,昭和60年代に入ってやや減少したものの,平成2年以降増加しており,6年に153件のピークに達した後は2年続けて減少し,8年には84件となっている。
 なお,強盗の検挙人員について,犯行時の年齢層別構成比を昭和31年から平成8年まで5年ごとに取り上げたものが,I-9図である。強盗の犯行時の年齢層別構成比の推移を見ると,いずれの年においても少年と20歳代がその中心であり,強盗が若年層により敢行されやすい犯罪である一方で,40歳以上の占める比率が昭和40年代から50年代にかけて上昇しており,近年は10%台後半で推移している(警察庁の統計による。)。

I-9図 強盗の犯行時年齢層別構成比