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 平成 8年版 犯罪白書 第1編/第4章/第1節/1 

1 教団の成立

 教団代表者は,昭和59年,「オウム神仙の会」と称する宗教サークルを作り,自らその教祖となって宗教活動を開始した。同人は,62年,その名称を「オウム真理教」と変更し,全国各地に活動の拠点を開設し,平成元年8月には東京都知事から規則の認証を受けて宗教法人設立登記をした。その後,教団は,山梨県西八代郡上九一色村にサティアンと称する教団施設及びその付属施設を順次建設した。
 教団代表者は,自らをシヴァ大神の化身であり,唯一最終解脱をなし遂げた者であるとして,「グル」又は「尊師」と尊称させ,教団の最高位に君臨した。自ら制定した教義を信者に廠守させ,ことに出家信者に対しては,自己及びシヴァ大神に生涯にわたって心身及び財産を委ね,現世における一切の関わりを断つことを要求した。また,出家信者を位に格付けし,自らを神聖法皇として組織の頂点に置いた省庁制を設け,各省庁に大臣及び次官等を置くなど,国の行政機関を模した制度を採用した。