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1 犯罪被害者等に対する給付金支給制度 犯罪被害者等給付金支給法(昭和55年法律第36号)は,一人の生命又は身体を害する故意の犯罪により,不慮の死を遂げた者の遺族又は重障害を受けた者に対し,国が犯罪被害者等給付金を支給することについて定めている。この制度は,加害者側に資力がないため,被害者やその遺族が事実上救済の道を閉ざされている場合があることを考慮し,これを救済する趣旨で設けられた制度である。
同制度による給付金は,都道府県公安委員会に対する申請により,その裁定によって支給される。申請の期間は,当該犯罪被害の発生を知った日から2年又は当該犯罪被害が発生した日から7年である。同公安委員会は,速やかに裁定をするととができない事情があるときは,その決定によって仮給付金を支給することができる。 犯罪被害者等給付金は,一時金であり,死亡した者の遺族に支給される「遺族給付金」と重障害の被害者に支給される「障害給付金」がある。支給額は,それぞれ,政令の定めによって算定する給付基礎額に,遺族給付金の場合は遺族の生計維持の状況を勘案し,障害給付金の場合は障害の程度を基準として政令で定める倍数を乗じて得た額である。政令の定めによる被害者一人当たりの給付限度額は,遺族給付金では1,079万円,障害給付金では1,273万円である(平成6年政令第174号)。 平成7年中の給付金の申請者数は251人であり,前年以前の申請者を含めて7年中に支給の裁定又は決定があった者は214人で,給付金額は,約5億7,300万円である。また,昭和56年1月1日の本制度施行以来の支給の裁定又は決定があった者の総数は3,330人で,給付金総額は約75億8,800万円である(警察庁長官官房の資料による。詳細は第3編第8章第2節参照。)。 |