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2 収賄事犯 公務員犯罪の中でも,収賄事犯は,公務の公正に対する一般国民の信頼を損ない,遵法意識の低下を招くなど,その及ぼす影響は計り知れない。この種の事件は,収賄者及び贈賄者の双方が罰せられることから,当事者だけで隠密裏に行われることが多い上,特定の被害者が存在しないことなども加わって,極めて潜在性が強い。したがって,事件の傾向を単年度の統計で推し量ることは適当でないので,最近10年間に収賄罪で検挙された公務員(法令により公務に従事するとみなされる公務員を含む。)全員につき,これを昭和60年から平成元年までの5年間(以下,本節において「前期」という。)と,2年から6年までの5年間(以下,本節において「後期」という。)に分け,公務員の種類別に両者を比較して示したものが,III-39図である。検挙人員総数は,前期が739人,後期が371人減の368人となっており,いずれの公務員の種類においても検挙人員は減少傾向を示している。種類別に見ると,前期・後期を通じて,地方公務員が最も多く,以下,地方公共団体の各種議員,国家公務員の順となっている。
平成6年中に警察が検挙した事件の賄賂総額は5億1,291万円(前年より3階999万円・152.8%の増)に上っており,収賄者一人当たりの賄賂額は470万円(前年より245万円・108.9%の増)となっている(警察庁刑事局の資料による。)。 III-39図 収賄公務員の種類別検挙人員(昭和60年〜平成元年・2年〜6年) III-25表は,平成元年から5年までの5年間における収賄事件の第一審裁判所の科刑状況を見たものである。5年中に懲役刑に処された者のうち,懲役1年以上の刑に処された者の比率は86.2%(50人)で,過去5年間で最も高い。5年の執行猶予率は89.7%で,前年より5.0ポイント低くなっている。なお,5年に収賄で有期懲役刑の実刑を言い渡された人員は6人で,その内訳は,刑期が2年以上3年未満の者が3人,1年以上2年未満が2人,6月以上1年未満が1人となっている(司法統計年報による。)。 III-25表 収賄事件の第一審科刑状況(平成元年〜5年) |