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2 被疑者の人種別に見た犯罪の動向 連合王国では,犯罪に関する統計書は,国籍別あるいは内国人・外国人別の数字を掲げていない。したがって,同国における外国人犯罪についての数字を知ることは困難である。他方,人種別の数字が掲げられている統計がわずかながらあるため,ここでは,いささか古い数字を用いざるを得ないが,同国内務省等の統計によって,人種別に犯罪の現状を見ることとする。
IV-58表は,1978年から1987年までの10年間における,首都圏警察管区(the Metropolitan Police District)内での検挙人員総数に占める人種別の構成比の推移を見たものである。検挙人員総数に占める黒人の構成比は,1978年に15%であったものが,1987年には18%にまで上昇しており,インド亜大陸系の構成比も3%から5%に上昇している。一方,白人のそれは,76%から72%に低下した。 IV-58表 報告犯罪による検挙者の人種別構成比 これを罪名別に見ると,黒人の構成比の伸びが特に著しいのは,強盗等(robberyetc.,38%から54%に上昇),詐欺等(fraud etc.,13%から21%に上昇),器物損壊等(criminal damage etc.,10%から16%に上昇)である。ちなみに,1984年から1986年までの3年間の平均値で見た,首都圏警察管区における10歳以上の人口の人種別構成比は,白人が85.1%,アジア系が5.3%,黒人が5.2%,その他が2.8%となっている。 |