少年院においては,少年のもつ問題性に応じて,暴力組織関係者,覚せい剤事犯者,交通事犯者,家族関係に問題がある者などのグループに分けて,問題群別指導を実施しているが,暴力組織関係者に対しては,暴力組織からの離脱指導を積極的に行っている。
行刑施設においても,入所時教育,出所時教育その他の各種教育を通じて暴力組織からの離脱を働きかけるほか,「処遇類型別指導」として,特に暴力組織加入者を集め,集中的に離脱指導をしている施設がある。
保護観察においては,保護観察対象者をシンナー等濫用対象者,覚せい剤事犯対象者,暴力組織関係対象者,家庭内暴力対象者,精神障害等対象者など11の類型に分けて,「類型別処遇」を行っているが,暴力組織関係対象者に対する処遇指針のうち,主要な事項は,次のとおりである。
暴力組織関係対象者に対する処遇指針 [1] 警察等関係機関の協力を得るなどして,生活状況,特に暴力組織との具体的な関係,同組織の動向等の実態把握に努める。
[2] 交遊関係の調整,転居等による環境の改善を図るなどして,本人に対し,組織からの離脱を働きかける。
[3] 組織加入の動機,その背景,,組織における本人の地位,家庭環境,離脱の難易等を踏まえ,警察等関係機関の協力を求めるなどして,本人を離脱させるよう組織に働きかける。
[4] 組織からの離脱のために,家族や警察等関係機関に対し,保護観察への理解,協力を求める。
[5] 地道な職業への就労指導を行う。
[6] 矯正施設収容中の者については,その環境調整の段階から組織離脱の調整に努める。
[7] 同一組織に属する複数の保護観察対象者がある場合には,関係保護司相互間の連携を密にする。
矯正施設及び保護観察所のいずれにおいても,暴力団から離脱する意思のある者については,公共職業安定所,警察及び暴力追放運動推進センター等と緊密に連絡を取り合い,転職指導,就労先の確保等に努めている。
なお,暴力団対策法施行後に指定された暴力追放運動推進センターの暴力追放相談委員として保護司が委嘱されている例が少なくない。