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 平成 4年版 犯罪白書 第4編/第3章/第5節/1 

1 仮釈放

 仮釈放に4種類があることは,第2編第4章第1節において述べたとおりであるが,本項においては,これらのうち該当者が最も多い仮出獄を取り上げ,女子の仮出獄について,男子の仮出獄と対比しつつ,仮出獄の状況及び仮出獄に係る有期刑の執行状況を,それぞれ仮出獄率及び有期刑の執行率によって見ることとする。
(1) 仮出獄率
 IV-22図は,昭和41年以降における仮出獄率(第2編第4章第1節参照)の推移を男女別に示したものである。45年までは男女間の差が小さく,むしろ男子が高い年次もあったが,46年以降においては,女子が高くなるとともに,55年までは男女間の差が拡大する傾向が見られた。しかし,59年以降は,男子が50%台,女子が70%ないし80%台で,それぞれほぼ横ばいで推移し,女子が男子に比べて,仮出獄になる者の比率が格段に高い状況が続いている。女子は,男子に比べて,仮出獄中に凶悪・重大な再犯に陥る可能性が低いことなどが,その理由となっているのであろう。また,男女共に58年,59年に急上昇しているが,これは仮出獄の適正かつ積極的な運用施策が推進されたことによるものである。

IV-22図 男女別仮出獄率の推移

(2) 有期刑の執行率
 刑の執行率(第2編第4章第1節参照)が低いということは,仮出獄の時期が早いことを意味しているが,この執行率が比較的低い方である80%未満の者の占める比率を取り上げた上,昭和41年以降における推移を男女別に見ると,IV-23図のとおりである。これによると,42年以降,執行率80%未満の者の比率は,女子が男子よりも高く,したがって女子は仮出獄の時期が早いことが分かる。また,男女共に59年以降に急上昇しているのは,前記のような施策が推進されたことによるものである。

IV-23図 有期刑仮出獄者のうち男女別刑の執行率が80%未満の者の占める比率の推移