III-33表は，最近3年間における少年院新収容者を短期処遇の両区分及び長期処遇の五つの処遇課程(以下「処遇課程等」という。)別に見たものである。少年院新収容人員は，昭和60年以降漸減傾向にあったが，平成3年では，前年より総数で95人の増加となっている。これを処遇区分別に見ると，長期処遇は1.5%増(前年より39人増)，短期処遇は3.5%増(同56人増)となっている。

III-33表　少年院新収容者の処遇課程等別人員

　III-34表は，新収容者の年齢別人員を処遇区分別に見たものである。平成3年における総数は，前年と比べて，年少少年及び中間少年は減少しているのに対して，年長少年は増加している。
　III-35表は，新収容者の非行名別人員を処遇区分別に見たものである。平成3年の総数を見ると，前年と比べて，覚せい剤取締法違反，窃盗，恐喝，道路交通法違反などが増加しているのに対して，虞犯及び傷害の減少が目立つ。男女別では，男子が刑法犯の割合が高いのに比して，表子は特別法犯及び虞犯の割合が高いのが特徴である。

III-34表　少年院新収容者の処遇区分・年齢別人員

III-35表　少年院新収容者の処遇区分・非行名別人員

　平成3年の新収容者の教育程度を処遇区分別に見ると，高校在学・中退以上の者の占める比率は，特修短期処遇(49.1%)が最も高く，以下，一般短期処遇(39.3%)，長期処遇(26.0%)の順になっている。中学在学の者は，長期処遇8.6%，短期処遇7.1%であり，男女別では，女子は13.8%で，男子の7.2%に比べて高率である。
　III-12図は，新収容者の不良集団への加入歴の構成比を処遇区分別に示したものである。地域不良集団への加入歴がある者は，長期処遇，一般短期処遇で高く，暴走族への加入歴がある者は，特修短期処遇で著しく高い。
　III-36表は，法務省矯正局の調査によって明らかにされた，平成4年3月31日現在の全国少年院在院者3,461人の主な特性について，男女別，年齢層別に見たものである。初発非行年齢について見ると，男子の年少少年では，32.3%が12歳未満で初発非行が見られるのに対して，女子の年少少年では86.4%が12歳以降になって非行が始まっている。中間少年及び年長少年の場合も，女子は男子に比べて非行の始まりが遅い。問題行動歴について見ると，男女共に，家出，有機溶剤濫用及び万引きの比率が高いが，男女を比較すると，男子の比率が女子のそれよりも高いものは，家庭内暴力，対教師暴力，生徒間暴力及び万引きであり，逆に女子の比率が男子のそれよりも高いものは，家出，有機溶剤濫用及び覚せい剤濫用である。家庭環境上の問題では，男女共に父母間の不和・葛藤，父母離婚・別居の比率が各年齢層とも4割を超えており，少年院在院者には家庭上の問題を抱えている者の多いことがうかがえる。

III-12図　少年院新収容者の処遇区分・不良集団加入歴別構成比

III-36表　少年院在院者の主な特性についての男女・年齢層別構成比