前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 4年版 犯罪白書 第1編/第2章/第6節/3 

3 精神障害のある犯罪者の特色

 法務総合研究所では,対象者についての資料を分析し,精神障害のある犯罪者の特色を見ることにした。なお,本項においては,特に傷害致死を傷害から区別して取り扱う。
(1) 罪名・精神障害名
 I-44表は,対象者の犯した罪名と精神障害名との関係を見たものである。総数を罪名別に見ると,殺人(総数の19.8%)が最も多い。精神障害名別に見ると,精神分裂病が最も多く,また,いずれの罪名を見ても,精神分裂病の占める割合が約60%と高くなっている。

I-46表 本件罪名・精神障害に係る直近前科前歴名別人員

(2) 処分結果
 I-45表は,対象者について,罪名別及び精神障害名別に,不起訴処分理由及び裁判結果を見たものである。

I-47表 罪名別犯行時の治療状況

(3) 本件罪名と直近前科前歴の罪名
 対象者中1,725人が前科前歴を有するが,このうち,直近の前科前歴となった犯行(以下「直近事件」という。)の際にも精神障害が認められた者は647人(37.5%)である。I-46表は,この647人について,本件罪名と直近事件の罪名との関係を見たものである。本件罪名と直近事件の罪名が同じ者(本件罪名が傷害致死については直近罪名が傷害を含む。)の割合は,殺人(14.6%),強盗(15.4%)を除いていずれの罪名においても20%台の数値を示している。
(4) 犯行時の治療状況
 I-47表は,対象者中,本件犯行時において治療を受けていたかどうかが明らかな者3,667人について,犯行時までの治療状況を見たものである。約3分の2の者は,犯行時において現に治療を受けておらず,しかも,そのうちの約半数の者は,犯行前5年間に治療歴がありながら,犯行時には治療を受けていなかった者である。
(5) 犯行前の入院歴・措置入院期間
 対象者中,重大犯罪と認められる殺人,強盗,傷害,傷害致死,強姦・強制猥褻及び放火を犯した者の合計は2,215人である。このうち,措置入院歴者は187人となっている。この措置入院歴者の延べ措置入院回数は264回である。そこで,I-48表は,この187人の延べ264回の措置入院について,入院の期間を見たもので,約半数が6月以下である。
(6) 退院時の病状・退院から犯行までの期間
 1-49表は,対象者中,入院歴がある者のうち,本件犯行前に退院した2,015人について,直近退院時における病状及び直近退院時から本件犯行時までの期間を見たものである。
 直近退院時における病状の明らかな者1,262人のうち,411人(32.6%)が,直近退院時に未治癒のまま退院している。
 直近退院時から本件犯行までの期間を見ると,退院後1年以内に本件犯行に及んだ者は947人(47.0%)となっている。

I-48表 措置入院歴者の措置入院期間

(7) 犯行後の精神保健法による取扱状況
 1-50表は,対象者の本件犯行後の治療状況を見たものである。本件犯行後全く治療を受けていない者は,159人(4%)である。