更生保護会は,法務大臣の認可を受けて更生保護事業を行う民間の団体であり,宿泊保護等の直接保護事業を行うものと,この直接保護事業を助成するなどの連絡助成事業を行うものとの2種類がある。通常,「更生保護会」といわれるのは前者,すなわち,直接保護事業を行う団体のことである。
直接保護事業を行う更生保護会(以下「更生保護会」という。)は,それぞれ,男女別及び成人・青少年(23歳未満)別に収容対象を区分しているが,平成3年4月1日現在における種類別の施設数は,II-57表のとおりであり,各種類合計して95施設(事業休止中の施設は除く。)である。
更生保護会は,更生緊急保護の対象となる者又は保護観察中の者で保護観察所長から委託された者,更生緊急保護の期間経過後なお保護を必要とする者などに対して,宿泊供与に加えて,食事の給与,就職の援助,相談・助言等の保護を行っている。
II-58表は,最近5年間において,保護観察所長が更生保護会に宿泊保護を委託した人員を示したものである。刑務所の出所人員が減少していることもあり,委託人員は徐々に減少している。その内訳を見ると,保護観察対象者が更生緊急保護の対象者を上回っており,また,前者では仮出獄者が,後者では刑の執行終了者が多くを占めている。
II-57表 更生保護会の種類別施設数(平成3年4月1日現在)
II-58表 事件種類別更生保護会委託人員(昭和61年〜平成2年)
II-59表 更生保護会の収容保護状況(昭和60〜平成元各会計年度)
II-59表は,委託による保護(委託保護)と,更生保護会が委託期間の経過後も保護を継続する必要があると判断して,国の委託に基づかずに任意で行う保護(任意保護)との両者について,被保護者1人の1日の宿泊を1人として計算した延べ人員を見たものである。
平成2年中に刑務所を出所した者について,出所後の帰住予定先を見ると,刑務所に初めて入所した者では,父母のもとが41.4%,配偶者のもとが20.7%,更生保護会が13.2%であるが,入所度数が5度以上の者では,父母のもとが12.3%,配偶者のもとが18.2%,更生保護会が25.6%となっており,入所度数の多い者ほど,親族などの引受人を得にくくなって,更生保護会を帰住予定先とする傾向にある。なお,2年の刑務所出所者のうち,更生保護会に帰住を予定していた者4,838人のうち56.1%(2,715人)が,入所度数3度以上の者で占められている。