2 今後の課題 非行の一般化が進み,資質面,環境面の大きな問題をもたない少年による比較的軽微な非行が増加する一方で,少年鑑別所に収容される少年は,初入少年でも,その資質や環境上に深刻な問題を抱えている者が多いことが,今回の実態調査によって確認された。また,家出,万引きなどの問題行動が常習化した少年や初発非行年齢が低い者の再入率が高いこと,非行性の深まりと資質・環境上の問題との関連性が高いことなどが認められた。個々の少年がもつ問題を的確に把握し,それに応じた適時適切な処遇を選択することが重要である。 ところで,強盗,恐喝,強姦など,凶悪・粗暴な非行を犯す少年の中には,軽微な非行を繰り返すうちに,非行性が深まり,ついには,凶悪な非行に至る少年が少なくない。また,成人に達するまでに問題が改善されず,その後も犯罪を繰り返す者が少なからず存在する(平成元年の初入受刑者の20.7%の者に保護処分歴がある。)。今後,非行性の進んだ少年に対する的確な矯正教育,更生保護等に資するため,非行少年の再非行化に至るメカニズムを解明することが緊要な課題であるといえる。
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