前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 2年版 犯罪白書 第2編/第3章/第5節 

第5節 婦人補導院

 婦人補導院は,売春防止法5条(勧誘等)の罪を犯して補導処分に付された成人の女子を収容し,その更生のために必要な補導を行う施設である。収容期間は6か月を限度とし,その間,規律ある明るい環境の下で,社会生活に適応させるために必要な生活指導と職業補導とを行い,あわせて,更生の妨げとなる疾病等を除去するための医療を施している。
 平成元年の新収容人員は4人(最近5年間の合計では18人),出院人員は5人である。
 婦人補導院の在院者には,疾病等のため治療を要する者もあり,その処遇に当たっては,個々の在院者の特性に応じた個別指導を行うこととしている。具体的には,開放的・家庭的な雰囲気の中で,指導職員との人間的触れ合いを深めながら,売春に対する価値観と態度の変容を目標として,視聴覚教材を利用した指導,個別面接などによる働きかけを行っている。また,編物,裁縫,炊事及び洗濯など日常の生活技術を習得させたり,園芸作業などを通じて勤労意欲の喚起を図っている。更生の妨げとなる疾病等の除去については,特に性病の治療に重点が置かれている。そのほが,生け花や絵画などによる情操面の指導,婦人相談センターの相談員による保護相談,院外の公共施設の利用や施設見学などを通じて,社会適応性を高めるよう工夫している。さらに,退院又は仮退院後の帰住先の環境に恵まれない者が多いので,関係機関との連携を十分に保ちながら,社会復帰の施策を推進している。