刑務所及び少年刑務所は，懲役，禁錮及び拘留の執行のために拘置される者を収容し，これらの者に対し必要な処遇を行うことを主な任務とする刑事施設であり，一般に行刑施設ともいう。行刑施設としては，ほかに主として未決拘禁者(勾留中の被告人及び被疑者をいう。以下同じ。)を収容する拘置所がある。行刑施設の数は，平成元年12月末現在，本所74(刑務所59，少年刑務所8，拘置所7)，支所117(刑務支所9，拘置支所108)である。前年に比べ刑務所1増，少年刑務所1減となったが，これは，元年10月2日，「岩国少年刑務所」が「岩国刑務所」(女子受刑者を収容することになった。)に改められたことによる。

II-23表　行刑施設1日平均収容人員(昭和20年，25年，50年，62年〜平成元年)

　II-23表は，行刑施設全体の1日平均収容人員を昭和20年，25年，50年及び最近3年間について見たものである。1日平均収容人員は，戦後急激に増加して25年には10万3,170人と最高を記録したが，その後は多少の起伏を見せながら減少し，50年には戦後最低の4万5,690人となった。しかし，51年からは漸増傾向に転じ，61年には5万5,348人にまで増加したが，62年以降逐年減少し，平成元年では，前年に比べ2,515人(4.6%)減の5万1,829人となっている。元年の受刑者の1日平均収容人員は，4万4,247人(全収容人員の85.4%)で，前年より1,662人減少し，未決拘禁者は，7,411人(被告人7,285人，被疑者126人)で，前年より825人減少している。なお，元年末現在における行刑施設の収容定員は6万3,423人(うち，受刑者の収容定員は4万7,645人)，収容人員は，5万481人(うち，受刑者の収容人員は4万2,615人)であり，収容率(収容定員に対する収容人員の比率)は，全体では79.6%，受刑者では89.4%となっている。

II-24表　受刑者の入出所事由別人員(昭和62年〜平成元年)

　II-24表は，最近3年間における受刑者の人出所事由別人員について見たものである，平成元年の入所人員は2万6,480人であるが，このうち新受刑者(裁判の確定により，新たに入所した懲役，禁錮，拘留の受刑者及び死刑の執行を受けた者をいう。以下同じ。)は2万4,605人で，仮釈放の取消し，刑執行停止の取消し及び労役場留置から刑の執行への移行などにより再び刑務所に収容した者は1,875人である。出所人員は2万9,601人で，その内訳は，満期釈放者が1万2,572人，仮釈放者が1万6,200人，その他刑の執行停止などによる出所者が829人である。満期釈放者，仮釈放者の比率は，それぞれ43.7%，56.3%であり，仮釈放者の比率は，前年よりも0.9ポイント上昇している。